秋田県における救急救命士による低血糖症例に対する病院前ブドウ糖溶液投与及び心肺機能停止前静脈路確保と輸液の導入と6ヶ月間の検証

2014年4月1日より意識障害症例での血糖測定と低血糖症例へのブドウ糖溶液投与,ショックが疑われる症例への静脈路確保と輸液の2行為が救急救命士の処置として追加された。秋田県では同日より全県で活動を開始し,2014年9月30日までの6カ月間で血糖測定対象は551例で,うち497例(90%)に血糖測定が行われ,血糖値50mg/dL 未満は113例であった。48例でブドウ糖溶液投与を行い,42例で意識レベルの改善を認めた。心肺機能停止前静脈路確保対象は184例で,125例(64.8%)に静脈路確保を施行し,47例で血圧低下の進行を認めなかった。一方プロトコル逸脱例やショックの判断不明例が多数みられた...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 19; no. 4; pp. 592 - 597
Main Authors 多治見, 公高, 藤田, 康雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 2016
日本臨床救急医学会
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ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.19.592

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Summary:2014年4月1日より意識障害症例での血糖測定と低血糖症例へのブドウ糖溶液投与,ショックが疑われる症例への静脈路確保と輸液の2行為が救急救命士の処置として追加された。秋田県では同日より全県で活動を開始し,2014年9月30日までの6カ月間で血糖測定対象は551例で,うち497例(90%)に血糖測定が行われ,血糖値50mg/dL 未満は113例であった。48例でブドウ糖溶液投与を行い,42例で意識レベルの改善を認めた。心肺機能停止前静脈路確保対象は184例で,125例(64.8%)に静脈路確保を施行し,47例で血圧低下の進行を認めなかった。一方プロトコル逸脱例やショックの判断不明例が多数みられた。さらに観察不十分な症例も多く,輸液処置の有効性は評価できなかった。新たな特定行為の導入にあたっては,十分な教育・訓練と指示医師を含めたプロトコル周知が重要である。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.19.592