ステロイド治療後の病態評価に心臓MRIが有用であった両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)植込み後の心臓サルコイドーシスの1例

症例は40歳台男性.肺サルコイドーシス疑いで他院通院中に息切れが出現し,心臓超音波で高度左心機能低下,心電図異常を認め,当科紹介となった.冠動脈造影で有意狭窄なく,心筋生検陽性,心臓MRIのT2強調像で心基部中隔主体に高信号,遅延造影像で中隔と前壁に淡く広範な遅延造影を認め,18F-FDG PETで心臓集積あり,心臓サルコイドーシスと診断した.また完全房室ブロック,非持続性心室頻拍を認めたため,両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)植込み後,プレドニゾロン30 mgを開始した.以後プレドニゾロンを漸減したが,開始2年後プレドニゾロン7.5 mg内服中に心室頻拍による抗頻拍ペーシン...

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Published in心臓 Vol. 52; no. 2; pp. 169 - 175
Main Authors 坂井, 晶子, 野村, 新, 百瀬, 満, 中尾, 梨沙子, 芹澤, 直紀, 尾川, 理紗, 庄田, 守男, 萩原, 誠久, 長尾, 充展, 渡邉, 絵里, 柳下, 大悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.02.2020
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.52.169

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Summary:症例は40歳台男性.肺サルコイドーシス疑いで他院通院中に息切れが出現し,心臓超音波で高度左心機能低下,心電図異常を認め,当科紹介となった.冠動脈造影で有意狭窄なく,心筋生検陽性,心臓MRIのT2強調像で心基部中隔主体に高信号,遅延造影像で中隔と前壁に淡く広範な遅延造影を認め,18F-FDG PETで心臓集積あり,心臓サルコイドーシスと診断した.また完全房室ブロック,非持続性心室頻拍を認めたため,両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)植込み後,プレドニゾロン30 mgを開始した.以後プレドニゾロンを漸減したが,開始2年後プレドニゾロン7.5 mg内服中に心室頻拍による抗頻拍ペーシング作動が増加した.このため心筋障害の評価目的に心臓MRIを再度施行した.アーチファクトを伴う画像であったが,T2強調像で高信号は消失,遅延造影の範囲は縮小・明瞭化し,炎症の改善と心筋障害の程度を評価しえた.CRT-D植込み後の心臓MRI施行例の報告は国内では少なく,その有用性と限界につき文献的考察を含め報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.169