導管内乳頭腫と診断された舌腫瘍の一例

我々は,舌に発生した唾液腺導管内乳頭腫を経験した.患者は33歳の女性で,右側の舌の腫瘤を主訴に来院した.右舌縁後方の粘膜下層に示指頭大の腫瘤が触知され,弾性硬であった.画像検査では,境界明瞭で一様な造影効果を示す13 mmの小結節を認め,悪性腫瘍は否定的と考えられた.舌の運動,感覚,味覚に異常はなく,血液検査でも特記すべき異常所見はなかった.穿刺吸引細胞診も施行したが,明らかな悪性を示唆する所見は認められなかった.診断的治療として,全身麻酔下で腫瘍切除術が行われ,導管内乳頭腫と診断された.術後1年の時点では視診上局所再発を認めなかった.導管内乳頭腫は,多くの症例で腫瘍摘出のみで予後が良好と報告...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 75; no. 2; pp. 169 - 173
Main Authors 粟生, 憲和, 茂木, 雅臣, 松山, 敏之, 近松, 一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2025
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.75.169

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Summary:我々は,舌に発生した唾液腺導管内乳頭腫を経験した.患者は33歳の女性で,右側の舌の腫瘤を主訴に来院した.右舌縁後方の粘膜下層に示指頭大の腫瘤が触知され,弾性硬であった.画像検査では,境界明瞭で一様な造影効果を示す13 mmの小結節を認め,悪性腫瘍は否定的と考えられた.舌の運動,感覚,味覚に異常はなく,血液検査でも特記すべき異常所見はなかった.穿刺吸引細胞診も施行したが,明らかな悪性を示唆する所見は認められなかった.診断的治療として,全身麻酔下で腫瘍切除術が行われ,導管内乳頭腫と診断された.術後1年の時点では視診上局所再発を認めなかった.導管内乳頭腫は,多くの症例で腫瘍摘出のみで予後が良好と報告されているが,再発や悪性転化の可能性もあるため,導管内乳頭腫が鑑別に挙がる場合には,摘出術を早期に行い,経過フォローすることが推奨される.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.75.169