閉塞性肺炎をきたし摘出に難渋した成人気管支異物の1例

背景.成人の気管支異物は気管支鏡で摘出可能な場合が多いが,症例により摘出困難な場合がある.症例.73歳男性.数日前からの倦怠感と咳嗽を主訴に前医を受診した.胸部CTで左主気管支異物及び閉塞性肺炎と診断された.異物は脱落した義歯と推察された.同院では気管支鏡での摘出が出来なかったため,当院へ転院した.閉塞性肺炎を合併しており,可及的早期の摘出が必要と判断した.転院同日に全身麻酔下で軟性及び硬性気管支鏡による摘出を試みたものの,肺炎による多量の喀痰のため視野が確保困難で,さらに気道上皮の浮腫のため異物が埋没しており摘出を断念し,肺炎の軽快を待ってから摘出を行う方針にした.その後肺炎のため人工呼吸器...

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Published in気管支学 Vol. 47; no. 1; pp. 17 - 21
Main Authors 渡辺, 光, 星島, 一允, 安田, 佐梨, 阿部, 昂平, 鈴木, 潤, 塩野, 知志, 捧, 貴幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2025
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.47.1_17

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Summary:背景.成人の気管支異物は気管支鏡で摘出可能な場合が多いが,症例により摘出困難な場合がある.症例.73歳男性.数日前からの倦怠感と咳嗽を主訴に前医を受診した.胸部CTで左主気管支異物及び閉塞性肺炎と診断された.異物は脱落した義歯と推察された.同院では気管支鏡での摘出が出来なかったため,当院へ転院した.閉塞性肺炎を合併しており,可及的早期の摘出が必要と判断した.転院同日に全身麻酔下で軟性及び硬性気管支鏡による摘出を試みたものの,肺炎による多量の喀痰のため視野が確保困難で,さらに気道上皮の浮腫のため異物が埋没しており摘出を断念し,肺炎の軽快を待ってから摘出を行う方針にした.その後肺炎のため人工呼吸器管理を要したが喀痰が減少せず,抗菌薬投与を行った後に気管切開を施行し喀痰が減少した.肺炎が改善したのち,入院後14日目に再度異物除去を施行した.喀痰は減少し,気管支の浮腫も軽減しており軟性気管支鏡で摘出した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.47.1_17