摂食・嚥下障害に対する軟口蓋挙上装置の有効性

【目的】軟口蓋挙上装置(PLP; Palatal Lift Prosthesis)の適応基準を明確にし,本装置の摂食・嚥下障害に対する有効性について検討した.【方法】摂食機能訓練のみ実施した群(コントロール群:49 例)と摂食機能訓練に加えてPLP を装着した群(介入群:57 例)とで比較した.介入群はPLP 作製後に初回評価を行い,摂食機能訓練とPLP の装着を開始した.初回評価から3 カ月未満,3 カ月以上6 カ月未満,6 カ月以上12 カ月未満,12 カ月以上の4つの期間のいずれかにおいて評価を行った.コントロール群は,初回評価を行い摂食機能訓練のみ開始し,同様に4 つの期間のいずれかに...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 17; no. 1; pp. 13 - 24
Main Authors 菊谷, 武, 向井, 美惠, 森田, 学, 鰕原, 賀子, 岡田, 猛司, 阿部, 仁子, 三瓶, 龍一, 植田, 耕一郎, 戸原, 玄, 島野, 嵩也, 渡邊, 裕, 石山, 寿子, 中山, 渕利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.04.2013
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
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ISSN1343-8441
2434-2254
DOI10.32136/jsdr.17.1_13

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Summary:【目的】軟口蓋挙上装置(PLP; Palatal Lift Prosthesis)の適応基準を明確にし,本装置の摂食・嚥下障害に対する有効性について検討した.【方法】摂食機能訓練のみ実施した群(コントロール群:49 例)と摂食機能訓練に加えてPLP を装着した群(介入群:57 例)とで比較した.介入群はPLP 作製後に初回評価を行い,摂食機能訓練とPLP の装着を開始した.初回評価から3 カ月未満,3 カ月以上6 カ月未満,6 カ月以上12 カ月未満,12 カ月以上の4つの期間のいずれかにおいて評価を行った.コントロール群は,初回評価を行い摂食機能訓練のみ開始し,同様に4 つの期間のいずれかにおいて評価した.比較診査は,発話と摂食機能関連の診査,および栄養摂取状況,聞き取りによる主観的健康感である.【結果・考察】原疾患は脳血管疾患以外に20 疾患以上あり,適応疾患を特定することは困難であると思われた.一方,舌挙上状態不良,軟口蓋挙上状態不良,開鼻声,呼気鼻漏出による子音の歪み,および摂食・嚥下の5 期のうち,口腔期と咽頭期障害が対象患者の80% 以上を,また軟口蓋の感覚低下は70% 近くを占めていたことから,PLP の適応を判断するには,疾患よりも病態のほうが把握しやすいと思われた.PLP の装着により挙上状態を最も表出している「鼻咽腔閉鎖」と「鼻咽腔逆流」が改善していた.また咀嚼状態は,初回評価と再評価時に明確な差が認められなかった.PLP 装着の効果として,咀嚼機能への影響はないものの,嚥下機能の改善に貢献することが認められた.初回評価から再評価までの期間別効果については,6 カ月以上の中期・長期的な期間をおけば,PLP は摂食機能改善のための訓練用装置としての期待がもてた.【結論】1.PLP の適応を判断するには,疾患よりも病態のほうが把握しやすいと思われた.2.PLP は発話障害に対する補助具であると同時に,6 カ月以上の中期・長期的な期間をおけば,摂食・嚥下機能改善のための訓練用装置としての期待がもてた.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.17.1_13