FloTrac®を用いた閉塞性肥大型心筋症合併患者の開腹腫瘍摘出術の術中管理

「要旨」 閉塞性肥大型心筋症合併患者の膵体尾部腺癌と非機能性良性副腎腫瘍に対して, 膵体尾部切除術と副腎腫瘍摘出術を行った症例の麻酔管理を経験した. 硬膜外麻酔併用全身麻酔を選択し, FloTrac(R)を用いて循環管理を行い, 安定した循環動態を得ることができた. 「はじめに」 閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy:以下, HOCM)は, 収縮期左室流出路狭窄と左室拡張期コンプライアンスの低下を特徴とし, 麻酔管理上, 循環動態の安定が最も重要な課題である. 前負荷・後負荷の低下と心収縮力の増強は, 左室流出路狭窄を増悪させて心拍...

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Published in循環制御 Vol. 32; no. 3; pp. 181 - 184
Main Authors 門崎, 衛, 金子, 麻子, 竹内, 護, 篠原, 貴子, 和井内, 賛, 多賀, 直行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2011
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.32.181

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Summary:「要旨」 閉塞性肥大型心筋症合併患者の膵体尾部腺癌と非機能性良性副腎腫瘍に対して, 膵体尾部切除術と副腎腫瘍摘出術を行った症例の麻酔管理を経験した. 硬膜外麻酔併用全身麻酔を選択し, FloTrac(R)を用いて循環管理を行い, 安定した循環動態を得ることができた. 「はじめに」 閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy:以下, HOCM)は, 収縮期左室流出路狭窄と左室拡張期コンプライアンスの低下を特徴とし, 麻酔管理上, 循環動態の安定が最も重要な課題である. 前負荷・後負荷の低下と心収縮力の増強は, 左室流出路狭窄を増悪させて心拍出量の低下を招くため, 術中の循環血液量や左室流出路狭窄の程度を連続的に評価することが重要である. HOCMを合併した症例において循環モニタリングとして, 肺動脈カテーテルを利用した報告はあるがFloTrac(R)を用いた報告は少ない. 今回我々は, 低侵襲な連続的モニタリングとしてFloTrac(R)を使用し, 安定した循環管理を得られたので報告する.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.32.181