循環器疾患々者の特殊性

循環器疾患々者に温泉療法を実施し, あるいはリハビリテーションとして温泉浴を施行することは, 高血圧症や末梢血管疾患等においては古くから試みられ, 多くの業績が発表されている. しかし多くの循環器疾患とくに心障碍を伴う場合は, 温浴による代謝亢進に伴い, 心負荷増大のためむしろ慎むべきものと考えられて来た. しかるに我が国の国民性は全身の高温浴を好み, ために医師は入浴条件をかなり明確に指示指導しなければならない. そこでわれわれに与えられたテーマは広範なものてあるが, 内科臨床医の立場から, 循環器疾患とくに心疾患々者の温浴の限界という問題にしぼり検討を試みることとした. OTT教授らはBa...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 31; no. 1-2; pp. 27 - 34
Main Authors 花岡, 和一郎, 吉利, 和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 1967
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki1962.31.27

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Summary:循環器疾患々者に温泉療法を実施し, あるいはリハビリテーションとして温泉浴を施行することは, 高血圧症や末梢血管疾患等においては古くから試みられ, 多くの業績が発表されている. しかし多くの循環器疾患とくに心障碍を伴う場合は, 温浴による代謝亢進に伴い, 心負荷増大のためむしろ慎むべきものと考えられて来た. しかるに我が国の国民性は全身の高温浴を好み, ために医師は入浴条件をかなり明確に指示指導しなければならない. そこでわれわれに与えられたテーマは広範なものてあるが, 内科臨床医の立場から, 循環器疾患とくに心疾患々者の温浴の限界という問題にしぼり検討を試みることとした. OTT教授らはBad Nauheimにおいて, 軽症心不全を含め, 本態性高血圧, 冠動脈疾患, 末梢血管疾患, 等多くの対象に積極的に温泉療法を施行し, 可成りの効果を認めているが, その浴温は32~33℃を中心とした低温で, 泉質は高濃度炭酸泉であり, 皮膚刺戟によりその低温を冷たく感じないという特殊条件を利用したもので, 我国日常における温浴微量浴とは著しく事情をことにするものである.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.31.27