小児腎移植レシピエントの服薬ノンアドヒアランスと心理社会的問題の検討
「I. はじめに」小児腎移植レシピエントの服薬管理は, 幼少時期には保護者に委ねられるが, 思春期以降に管理の主体がレシピエント本人に移行していくことが多い. 医療者・保護者からレシピエントに対して管理の移行を勧められることが多いが, この移行は必ずしも本人の理解度, 達成度に沿って行われるとは限らず, 医療者側が現状を把握しない状態で保護者や社会的理由により半ば強制的に進められてしまうことも多い. 服薬管理の移行がうまくいかない場合, しばしば服薬ノンアドヒアランス(NA)を呈することが経験される. さらには思春期には特に問題がなかった症例でも, 大学進学や就職の際に本人が自立していくにつれ...
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| Published in | 移植 Vol. 56; no. 1; pp. 9 - 14 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
日本移植学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI | 10.11386/jst.56.1_9 |
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| Summary: | 「I. はじめに」小児腎移植レシピエントの服薬管理は, 幼少時期には保護者に委ねられるが, 思春期以降に管理の主体がレシピエント本人に移行していくことが多い. 医療者・保護者からレシピエントに対して管理の移行を勧められることが多いが, この移行は必ずしも本人の理解度, 達成度に沿って行われるとは限らず, 医療者側が現状を把握しない状態で保護者や社会的理由により半ば強制的に進められてしまうことも多い. 服薬管理の移行がうまくいかない場合, しばしば服薬ノンアドヒアランス(NA)を呈することが経験される. さらには思春期には特に問題がなかった症例でも, 大学進学や就職の際に本人が自立していくにつれて, 生活リズムの変調をきたしたり社会生活に必死になり, 自己の体調管理や服薬管理がおろそかになることも経験される. 小児腎移植レシピエントのNAは100人中36人に認められると報告され, North American Pediatric Renal Trials and Collaborative Studies(NAPRTCS)のデータでも移植60か月, 120か月の時点で12-17歳の移植腎生着率が有意に悪いことが示されている. |
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| ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI: | 10.11386/jst.56.1_9 |