鈍的肝外傷9例の検討

当院において3年6ヵ月の間に, 来院時腹部CTを施行した腹部外傷38例中24%にあたる9例の肝外傷を経験した. そのうち, 腹部所見が進行するもの, あるいは急速輸液にても, シヨツク状態が改善しないもの(自験例は4例)を緊急開腹術の適応とし, その他のものは, 厳重な経過観察による保存的療法にて全例軽快退院した. うち1例は, 遅発性破裂をおこしたがTAEにて止血に成功し, また胆汁腫を合併した症例は, 経皮経肝ドレナージにて治癒期間を短縮できた. 画像上重症と思われる肝損傷が, 直接患者の重症度を反映しておらず, 常に患者の全身状態の把握に基づいた開腹の決定が重要で, 保存的療法の適応はさ...

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Published in医療 Vol. 43; no. 11; pp. 1190 - 1194
Main Authors 松岡, 陽治郎, 渡部, 誠一郎, 林, 〓欽, 城野, 英利, 糸瀬, 薫, 芦沢, 和人, 古川, 正人, 草野, 敏臣, 田代, 和則, 中田, 俊則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.1190

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Summary:当院において3年6ヵ月の間に, 来院時腹部CTを施行した腹部外傷38例中24%にあたる9例の肝外傷を経験した. そのうち, 腹部所見が進行するもの, あるいは急速輸液にても, シヨツク状態が改善しないもの(自験例は4例)を緊急開腹術の適応とし, その他のものは, 厳重な経過観察による保存的療法にて全例軽快退院した. うち1例は, 遅発性破裂をおこしたがTAEにて止血に成功し, また胆汁腫を合併した症例は, 経皮経肝ドレナージにて治癒期間を短縮できた. 画像上重症と思われる肝損傷が, 直接患者の重症度を反映しておらず, 常に患者の全身状態の把握に基づいた開腹の決定が重要で, 保存的療法の適応はさらに拡大されていくとおもわれた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.1190