男子バレーボールのブロックパフォーマンス改善に関する実践研究：遂行過程におけるゲーム局面および攻撃テンポに着目して
「I. 緒言」バレーボール競技(以下「バレーボール」と略す)は, 自分のコート内においては相手に妨害をされることなく自由意志で攻撃の戦術を構築することが可能な競技であるといえる. 現在のバレーボール男子トップレベルにおける主たる戦術では, 相手側の攻撃に関する戦術の構築をいかに阻止するかが重要な事項の一つとされている. これは, サーブ権を有しなければ得点できなかった以前のルールからラリーポイント制に移行し, サーブ権がなくても得点できるようになり, 特に男子においてはサーブをおこなうチームが必ずしも有利でなくなったと考えられる. スパイク技術を用いたジャンピングサーブにより相手の守備陣形を崩...
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| Published in | 体育学研究 Vol. 57; no. 2; pp. 699 - 720 |
|---|---|
| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本体育学会
2012
日本体育学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0484-6710 1881-7718 |
| DOI | 10.5432/jjpehss.12006 |
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| Abstract | 「I. 緒言」バレーボール競技(以下「バレーボール」と略す)は, 自分のコート内においては相手に妨害をされることなく自由意志で攻撃の戦術を構築することが可能な競技であるといえる. 現在のバレーボール男子トップレベルにおける主たる戦術では, 相手側の攻撃に関する戦術の構築をいかに阻止するかが重要な事項の一つとされている. これは, サーブ権を有しなければ得点できなかった以前のルールからラリーポイント制に移行し, サーブ権がなくても得点できるようになり, 特に男子においてはサーブをおこなうチームが必ずしも有利でなくなったと考えられる. スパイク技術を用いたジャンピングサーブにより相手の守備陣形を崩し, 攻撃者数や攻撃種などを限定させることにより, サーブ側のブロックが有利になるような状況を創出し, 勝機を見出そうとしている(松井ほか, 2008). 実際, 自チームのサーブ時の相手攻撃に対する最初の攻撃(ファースト・トランジション)であるディグ・アタック(スパイクレシーブからの攻撃)局面による得点が, ゲームの勝敗に最も影響を及ぼしている(吉田・箕輪, 2001). |
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| AbstractList | 「I. 緒言」バレーボール競技(以下「バレーボール」と略す)は, 自分のコート内においては相手に妨害をされることなく自由意志で攻撃の戦術を構築することが可能な競技であるといえる. 現在のバレーボール男子トップレベルにおける主たる戦術では, 相手側の攻撃に関する戦術の構築をいかに阻止するかが重要な事項の一つとされている. これは, サーブ権を有しなければ得点できなかった以前のルールからラリーポイント制に移行し, サーブ権がなくても得点できるようになり, 特に男子においてはサーブをおこなうチームが必ずしも有利でなくなったと考えられる. スパイク技術を用いたジャンピングサーブにより相手の守備陣形を崩し, 攻撃者数や攻撃種などを限定させることにより, サーブ側のブロックが有利になるような状況を創出し, 勝機を見出そうとしている(松井ほか, 2008). 実際, 自チームのサーブ時の相手攻撃に対する最初の攻撃(ファースト・トランジション)であるディグ・アタック(スパイクレシーブからの攻撃)局面による得点が, ゲームの勝敗に最も影響を及ぼしている(吉田・箕輪, 2001). |
| Author | 矢島, 忠明 松井, 泰二 都澤, 凡夫 |
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| Copyright | 2012 一般社団法人 日本体育学会 |
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| CorporateAuthor | 筑波大学大学院人間総合科学研究科 早稲田大学スポーツ科学学術院 |
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| Discipline | Recreation & Sports |
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| PublicationTitle | 体育学研究 |
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| References | 白数仁孝（2002）基礎としてのリードブロック．Coaching & playing volleyball, 22: 2-5. 米沢利広（2001）バレーボールのブロック戦術に関する研究—福岡大学女子バレーボールチームについて—．福岡大学スポーツ科学研究，31(1.2): 11-22. Reynaud, C. (2011) Coaching volleyball technical and tactical skills. Human Kinetics: Champaign, p. 108. Selinger, A. and Ackermann-Blount, J. (1986) Arie Selinger's power volleyball. St.martin's press: New York, pp. 171-204. 箕輪憲吾（2002）25点ラリーポイント制のバレーボールゲームに関する研究—ゲームにおける得点内容について—．県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要，3: 129-136. 松井泰二・内田和寿・黒川貞生・鈴木陽一・佐藤重芳・矢島忠明（2008）バレーボールにおけるブロック局面の off the ball movements の評価に関する研究—大学トップチームを対象として—．バレーボール研究，10: 1-12. 松井泰二・矢島忠明・都澤凡夫（2011）バレーボールにおける効果的なブロックパフォーマンスを生み出す遂行過程の構成要素—ゲーム局面と攻撃テンポに着目して—．バレーボール研究，13: 30-37. Kiraly, K. (1990) Karch Kiraly's championship volleyball. A Fireside Book: New York, pp. 47-55. 米沢利広・宮本佐和子（1999）バレーボールゲームのブロックパフォーマンスに関する研究．福岡大学スポーツ科学研究，30(1): 1-13. 佐賀野 健・金 致偉・橋原孝博・西村清巳（1998）男子トップバレーボール選手のコンビネーション攻撃に対するブロックに関する研究—ワールドカップ '95イタリア対日本戦におけるセンターブロッカーの映像分析—．スポーツ方法学研究，11(1): 141-147. 日本バレーボール機構（2010a）2009/10 V・premier/challenge league official program men．日本バレーボールリーグ機構：東京. 橋原孝博・西村清巳 (1995) 2 次元 DLT 法を用いた VTR 動作分析システムの確立に関する研究．広島大学総合科学部紀要IV理系編，21: 161-169. 吉田清司・小笠原義文（2002）バレーボールゲームのルール改正に伴う戦術の変遷について．専修大学体育研究紀要，25: 1-10. Martens, R. (1990) Successful coaching (2nd ed.). Human Kinetics: Champaign, pp. 81-82. レゼンデ，B.（2003）世界の指導者に学ぶ 2．Coaching & playing volleyball, 24: 9. 佐賀野 健・濱 景子・金 致偉・橋原孝博・小林 尭・西村清巳（2002）男子バレーボールにおけるコンビネーション攻撃に対するリードブロックの技術特性に関する研究—2 次元 DLT 法を用いたセンターブロッカーの映像分析—．スポーツ方法学研究，15(1): 87-96. マクガウン，C.：河合 学訳（1998）バレーボールコーチングの科学．ベースボールマガジン社：東京，pp. 96-116. 佐賀野 健・荒木祥一・西村清巳（1996）男子バレーボール選手のブロック技術分析—相手攻撃パターンに対するセンターブロッカーの動きについて—．中国四国教育学会教育学研究紀要，42(2): 399-404. 河部誠一編（2005）サイドアウトとブレーク．Coaching & playing volleyball, 40: 2-3. メイフォース，G. (2006) Ready to win. Coaching & playing volleyball, 44: 12-16. 日本バレーボール機構（2010b）2009/10 V・premier/challenge league official program women．日本バレーボールリーグ機構：東京. 山中邦夫（1999）98ワールドカップにおける日本代表のチームパフォーマンス．オペレーションズ・リサーチ，44(3): 132-136. Afonso, J., Mesquita, I., and Palao, J.M. (2005) The relationship between spike tempo and zone on the number of blockers in a variety of Men's national team game phases. International Journal of Volleyball Research, 8: 19-23. Gozansky, S. (2001) Volleyball coach's survival guide. Parker: New Jersey, pp. 113-122. McGown, C., Fronske, H., and Moser, L. (2001) Coaching volleyball building a winning team. Allyn & Bacon: Needham, p. 59. Siedentop, D. and Tannehill, D. (1999) Development teaching skills in physical education. Mayfield: Mountain View, pp. 335-339. 吉田敏明・箕輪憲吾（2001）25点ラリーポイント制のバレーボールゲームにおけるゲーム結果と得点に直接関係する技術との関係．スポーツ方法学研究，1(1): 13-21. 松井泰二・矢島忠明・都澤凡夫（2010）バレーボールにおけるブロック遂行過程の評価を目的にした構成要素の明示．バレーボール研究，12: 9-16. 吉原一男・山本章雄・土谷秀雄・南 匡泰（1986）バレーボールにおけるブロック技術の文献的研究．大阪市立大学保健体育学研究紀要，22: pp. 21-27. 日本バレーボール協会監（2000）Volleyball theory 解説書．オーディオビジュアルネットワーク：東京. 日本バレーボール協会編（2008）バレーボール指導教本．大修館書店：東京，pp. 76-79. 豊田 博（1987）バレーボールを始める人のために．池田書店：東京，pp. 138-139. 日本バレーボール学会編（2010）Volleypedia バレーボール百科事典．日本文化出版：東京，pp. 15-17. 中川 昭（2000）球技における戦術指導の理論的基礎．バイオメカニクス研究，14(3): 192-196. |
| References_xml | – reference: 日本バレーボール協会監（2000）Volleyball theory 解説書．オーディオビジュアルネットワーク：東京. – reference: 松井泰二・矢島忠明・都澤凡夫（2011）バレーボールにおける効果的なブロックパフォーマンスを生み出す遂行過程の構成要素—ゲーム局面と攻撃テンポに着目して—．バレーボール研究，13: 30-37. – reference: Reynaud, C. (2011) Coaching volleyball technical and tactical skills. Human Kinetics: Champaign, p. 108. – reference: 佐賀野 健・荒木祥一・西村清巳（1996）男子バレーボール選手のブロック技術分析—相手攻撃パターンに対するセンターブロッカーの動きについて—．中国四国教育学会教育学研究紀要，42(2): 399-404. – reference: 松井泰二・矢島忠明・都澤凡夫（2010）バレーボールにおけるブロック遂行過程の評価を目的にした構成要素の明示．バレーボール研究，12: 9-16. – reference: 日本バレーボール機構（2010a）2009/10 V・premier/challenge league official program men．日本バレーボールリーグ機構：東京. – reference: 河部誠一編（2005）サイドアウトとブレーク．Coaching & playing volleyball, 40: 2-3. – reference: Siedentop, D. and Tannehill, D. (1999) Development teaching skills in physical education. Mayfield: Mountain View, pp. 335-339. – reference: レゼンデ，B.（2003）世界の指導者に学ぶ 2．Coaching & playing volleyball, 24: 9. – reference: Selinger, A. and Ackermann-Blount, J. (1986) Arie Selinger's power volleyball. St.martin's press: New York, pp. 171-204. – reference: Martens, R. (1990) Successful coaching (2nd ed.). Human Kinetics: Champaign, pp. 81-82. – reference: 日本バレーボール機構（2010b）2009/10 V・premier/challenge league official program women．日本バレーボールリーグ機構：東京. – reference: McGown, C., Fronske, H., and Moser, L. (2001) Coaching volleyball building a winning team. Allyn & Bacon: Needham, p. 59. – reference: 佐賀野 健・金 致偉・橋原孝博・西村清巳（1998）男子トップバレーボール選手のコンビネーション攻撃に対するブロックに関する研究—ワールドカップ '95イタリア対日本戦におけるセンターブロッカーの映像分析—．スポーツ方法学研究，11(1): 141-147. – reference: Gozansky, S. (2001) Volleyball coach's survival guide. Parker: New Jersey, pp. 113-122. – reference: マクガウン，C.：河合 学訳（1998）バレーボールコーチングの科学．ベースボールマガジン社：東京，pp. 96-116. – reference: 日本バレーボール協会編（2008）バレーボール指導教本．大修館書店：東京，pp. 76-79. – reference: 豊田 博（1987）バレーボールを始める人のために．池田書店：東京，pp. 138-139. – reference: 箕輪憲吾（2002）25点ラリーポイント制のバレーボールゲームに関する研究—ゲームにおける得点内容について—．県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要，3: 129-136. – reference: 吉原一男・山本章雄・土谷秀雄・南 匡泰（1986）バレーボールにおけるブロック技術の文献的研究．大阪市立大学保健体育学研究紀要，22: pp. 21-27. – reference: 米沢利広・宮本佐和子（1999）バレーボールゲームのブロックパフォーマンスに関する研究．福岡大学スポーツ科学研究，30(1): 1-13. – reference: 吉田清司・小笠原義文（2002）バレーボールゲームのルール改正に伴う戦術の変遷について．専修大学体育研究紀要，25: 1-10. – reference: Kiraly, K. (1990) Karch Kiraly's championship volleyball. A Fireside Book: New York, pp. 47-55. – reference: 吉田敏明・箕輪憲吾（2001）25点ラリーポイント制のバレーボールゲームにおけるゲーム結果と得点に直接関係する技術との関係．スポーツ方法学研究，1(1): 13-21. – reference: 山中邦夫（1999）98ワールドカップにおける日本代表のチームパフォーマンス．オペレーションズ・リサーチ，44(3): 132-136. – reference: Afonso, J., Mesquita, I., and Palao, J.M. (2005) The relationship between spike tempo and zone on the number of blockers in a variety of Men's national team game phases. International Journal of Volleyball Research, 8: 19-23. – reference: メイフォース，G. (2006) Ready to win. Coaching & playing volleyball, 44: 12-16. – reference: 中川 昭（2000）球技における戦術指導の理論的基礎．バイオメカニクス研究，14(3): 192-196. – reference: 日本バレーボール学会編（2010）Volleypedia バレーボール百科事典．日本文化出版：東京，pp. 15-17. – reference: 白数仁孝（2002）基礎としてのリードブロック．Coaching & playing volleyball, 22: 2-5. – reference: 橋原孝博・西村清巳 (1995) 2 次元 DLT 法を用いた VTR 動作分析システムの確立に関する研究．広島大学総合科学部紀要IV理系編，21: 161-169. – reference: 米沢利広（2001）バレーボールのブロック戦術に関する研究—福岡大学女子バレーボールチームについて—．福岡大学スポーツ科学研究，31(1.2): 11-22. – reference: 佐賀野 健・濱 景子・金 致偉・橋原孝博・小林 尭・西村清巳（2002）男子バレーボールにおけるコンビネーション攻撃に対するリードブロックの技術特性に関する研究—2 次元 DLT 法を用いたセンターブロッカーの映像分析—．スポーツ方法学研究，15(1): 87-96. – reference: 松井泰二・内田和寿・黒川貞生・鈴木陽一・佐藤重芳・矢島忠明（2008）バレーボールにおけるブロック局面の off the ball movements の評価に関する研究—大学トップチームを対象として—．バレーボール研究，10: 1-12. |
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| SourceID | medicalonline jstage |
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| StartPage | 699 |
| SubjectTerms | バレーボール パフォーマンス改善 ブロック 遂行過程 |
| Title | 男子バレーボールのブロックパフォーマンス改善に関する実践研究：遂行過程におけるゲーム局面および攻撃テンポに着目して |
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