小児細菌性肺炎におけるCeftizoxime坐剤の薬効評価Ceftizoxime静注との比較試験

近年の経口用, 静注用抗生剤のめざましい開発の中にあつて, 抗生物質坐剤の開発は, 特に小児科領域を中心としてその必要性が指摘されていたにもかかわらず, 有効性, 安全性共に優れる抗生物質坐剤が臨床に供されることはなかつた。これは, 直腸投与では難吸収性であるβ-Lactam剤の吸収を促進させ, 安全性にも問題のない坐剤基剤の開発が困難であつたことによる。しかし, 最近, カプリン酸ナトリウムを吸収促進剤として含有するAmpicillin (ABPC) 坐剤が市販され, 抗生物質坐剤開発の新たな道を開いた。 Ceftizoxime坐剤 (CZX-S)は, いわゆる第5群β-Lactam剤である...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 39; no. 5; pp. 1279 - 1296
Main Authors 岩井, 直一, 藤井, 良知, 目黒, 英典, 山下, 文雄, 島田, 康, 片山, 道弘, 西山, 亨, 久野, 邦義, 富永, 薫, 藤本, 保, 田村, 健一, 田吹, 和雄, 古賀, 達彦, 溝口, 文子, 有益, 修, 高島, 俊夫, 西村, 忠史, 豊永, 義清, 杉田, 守正, 堀, 誠, 阪田, 保隆, 種田, 陽一, 柴田, 元博, 高木, 道生, 本廣, 孝, 中村, はるひ, 田中, 耕一, 比留間, 藤昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 01.05.1986
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.39.1279

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Summary:近年の経口用, 静注用抗生剤のめざましい開発の中にあつて, 抗生物質坐剤の開発は, 特に小児科領域を中心としてその必要性が指摘されていたにもかかわらず, 有効性, 安全性共に優れる抗生物質坐剤が臨床に供されることはなかつた。これは, 直腸投与では難吸収性であるβ-Lactam剤の吸収を促進させ, 安全性にも問題のない坐剤基剤の開発が困難であつたことによる。しかし, 最近, カプリン酸ナトリウムを吸収促進剤として含有するAmpicillin (ABPC) 坐剤が市販され, 抗生物質坐剤開発の新たな道を開いた。 Ceftizoxime坐剤 (CZX-S)は, いわゆる第5群β-Lactam剤である1) Ceftizoxime (CZX) を主薬とする坐剤で, ABPC坐剤と同様の基剤を有し, 直腸吸収性に優れている。本剤の小児科領域における体内動態及び一般臨床試験成績は, すでに報告しているが2), 小児肺炎及び尿路感染症などの主要疾患における有効率はいずれも95%以上であり, 本剤はCZXの優れた抗菌力, 抗菌スペクトラム及び坐剤製剤としての剤型上の有用性を有する薬剤として, 呼吸器感染症及び尿路感染症など小児の細菌感染症の治療に新しい治療法を提供するものである。 今回我々は, 小児科領域における本剤の臨床上の位置付けを更に検討するため, 小児細菌性肺炎を対象として, CZX注射剤を対照薬剤とした封筒法によるRandomized trialを実施したので, その成績を報告する。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.39.1279