急性白血病との鑑別を必要とした先天梅毒の1例

「要旨」先天梅毒はまれな重症感染症であるが, その重症度は胎内死亡から無症候感染までさまざまである. われわれは, 肝脾腫, 白血球数増加, 貧血, 血小板数低下など, 急性白血病に類似した症状で発症した先天梅毒の1例を経験したので報告する. 国内の社会情勢の変化とともに梅毒を含む性感染症罹患率は増加しており, 先天梅毒の適切な発症予防・診断・治療の実施が望まれる. 「I. はじめに」先天梅毒は, Treponema pallidumの母体からの垂直感染により発症する. 妊婦の梅毒感染の診断がなされれば, ペニシリン投与による治療法が確立されており, 完全に予防可能な疾患である. 急性皮膚病変...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 126 - 128
Main Authors 坂口, 大俊, 加藤, 剛二, 小島, 勢二, 松本, 公一, 村松, 秀城, 渡辺, 修大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 30.04.2008
日本小児血液学会
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.22.126

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Summary:「要旨」先天梅毒はまれな重症感染症であるが, その重症度は胎内死亡から無症候感染までさまざまである. われわれは, 肝脾腫, 白血球数増加, 貧血, 血小板数低下など, 急性白血病に類似した症状で発症した先天梅毒の1例を経験したので報告する. 国内の社会情勢の変化とともに梅毒を含む性感染症罹患率は増加しており, 先天梅毒の適切な発症予防・診断・治療の実施が望まれる. 「I. はじめに」先天梅毒は, Treponema pallidumの母体からの垂直感染により発症する. 妊婦の梅毒感染の診断がなされれば, ペニシリン投与による治療法が確立されており, 完全に予防可能な疾患である. 急性皮膚病変(バラ疹)の出現を特徴とし, 無治療の場合, 心血管系および中枢神経に重大な合併症を引き起こす. 妊娠中の感染では, 自然流産や先天奇形などを合併する危険性がある. 本邦では全妊婦に対し, 検診時に公費で梅毒検査が施行され早期発見, 早期治療に効果を示している.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.22.126