腹部超音波, CT検査にて診断しえた成人腸重積症の1例

成人腸重積症はまれな疾患で, 小児の腸重積症と異なり発生原因, 臨床像がさまざまであるため診断が困難である. そのため長期にわたり放置されたり, 逆に急性腹症として緊急手術となることが多い. しかし成人の腸重積症の原因として悪性腫瘍の頻度が高いことを考えると早期診断, 術前の切除範囲の検討は重要である. 我々は腹部超音波検査並びに腹部CT検査が成人腸重積症の術前診断に非常に有用であつた症例を経験した. 患者は上腹部痛, 〓気, 下痢を主訴として受診した. 腹部腫瘤に一致した部位に腹部エコー検査で内部がechogenic, 周囲がhypoechoicなmassを認めた. 腹部CT検査, 注腸透視...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 43; no. 7; pp. 757 - 760
Main Authors 田坂, 裕保, 瀬戸, 口正幸, 中田, 俊則, 古川, 正人, 天本, 祐平, 井上, 啓彌, 磯本, 一郎, 林, 〓欽, 草野, 敏臣, 越智, 誠, 酒井, 敦, 立花, 一幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.757

Cover

More Information
Summary:成人腸重積症はまれな疾患で, 小児の腸重積症と異なり発生原因, 臨床像がさまざまであるため診断が困難である. そのため長期にわたり放置されたり, 逆に急性腹症として緊急手術となることが多い. しかし成人の腸重積症の原因として悪性腫瘍の頻度が高いことを考えると早期診断, 術前の切除範囲の検討は重要である. 我々は腹部超音波検査並びに腹部CT検査が成人腸重積症の術前診断に非常に有用であつた症例を経験した. 患者は上腹部痛, 〓気, 下痢を主訴として受診した. 腹部腫瘤に一致した部位に腹部エコー検査で内部がechogenic, 周囲がhypoechoicなmassを認めた. 腹部CT検査, 注腸透視, 大腸内視鏡検査にて大腸腫瘍による腸重積症であることを確認した後, 右半結腸切除術を施行した. 術後経過は良好で1年後の現在再発の徴候なく健在である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.757