両側皮質脊髄路変性がみられたBinswanger病の1剖検例

両側皮質脊髄路(錐体路)変性がみられたBinswanger病の1剖検例を報告した. 患者は68歳男性で, 高血圧, 脳梗塞の既往があり, 感情, 意欲の障害を伴う進行性の痴呆, 仮性球麻痺, 錐体路症状がみられた. 病理学的には全身臓器の高度の動脈硬化症に加え, 大脳白質ではU-fiberは保たれるも, とくに両側前頭葉の深部白質に強いびまん性の髄鞘の淡明化と高度の軸索の減少がみられた. 加えて, 大脳白質, 基底核, 視床, 内包, 橋底部に小梗塞巣が多発し, 同部位の小・細動脈の硬化が高度であった. さらに, 両側の中心前回の深部白質から内包後脚を経て脊髄にいたる皮質脊髄路に高度の変性がみ...

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Published in医療 Vol. 49; no. 7; pp. 594 - 598
Main Authors 竹島, 俊雄, 渡辺, 騏七郎, 福谷, 祐賢, 伊崎, 公徳, 勝川, 和彦, 岡部, 外志彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1995
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.49.594

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Summary:両側皮質脊髄路(錐体路)変性がみられたBinswanger病の1剖検例を報告した. 患者は68歳男性で, 高血圧, 脳梗塞の既往があり, 感情, 意欲の障害を伴う進行性の痴呆, 仮性球麻痺, 錐体路症状がみられた. 病理学的には全身臓器の高度の動脈硬化症に加え, 大脳白質ではU-fiberは保たれるも, とくに両側前頭葉の深部白質に強いびまん性の髄鞘の淡明化と高度の軸索の減少がみられた. 加えて, 大脳白質, 基底核, 視床, 内包, 橋底部に小梗塞巣が多発し, 同部位の小・細動脈の硬化が高度であった. さらに, 両側の中心前回の深部白質から内包後脚を経て脊髄にいたる皮質脊髄路に高度の変性がみられた. 著者らが知る限りではBinswanger病に両側皮質脊髄路変性が合併した報告はなく, まれな症例と考えられた. 皮質脊髄路病変の成因について, さらに本例にみられた痴呆と大脳白質病変との関連について考察した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.49.594