慢性肝疾患におけるRapid turnover proteinの検討

慢性肝疾患におけるrapid turnover proteinの臨床的意義につき検討した. 健常者10名, 慢性肝炎非活動型(CHI)10例, 慢性肝炎活動型(CHA)13例, 代償期肝硬変(LC)19例および肝硬変合併肝癌(HCC)11例を対象とし, レチノール結合蛋白(RBP), プレアルブミン(PA), トランスフエリン(Tf)を測定し, 各群につき比較検討した. 健常者との比較ではRBPはすべての疾患群に対し, 病期の進展に対応して有意の低下を示し, PAもほぼ同様の傾向を呈した. また同時に測定したアルブミン(A1b), ヘパプラスチンテスト(HT), 総ビリルビン(TB), コリン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 43; no. 6; pp. 631 - 635
Main Authors 徳重, 克年, 屋代, 庫人, 菊池, 弘美, 林, 直諒, 久保, 井宏, 進藤, 仁, 中嶋, 太一郎, 久保, 精志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.631

Cover

More Information
Summary:慢性肝疾患におけるrapid turnover proteinの臨床的意義につき検討した. 健常者10名, 慢性肝炎非活動型(CHI)10例, 慢性肝炎活動型(CHA)13例, 代償期肝硬変(LC)19例および肝硬変合併肝癌(HCC)11例を対象とし, レチノール結合蛋白(RBP), プレアルブミン(PA), トランスフエリン(Tf)を測定し, 各群につき比較検討した. 健常者との比較ではRBPはすべての疾患群に対し, 病期の進展に対応して有意の低下を示し, PAもほぼ同様の傾向を呈した. また同時に測定したアルブミン(A1b), ヘパプラスチンテスト(HT), 総ビリルビン(TB), コリンエステラーゼ(ChE)との比較では. RBP, PAともA1bと最も良い相関を示し, 肝予備力の指標としても有効と考えられた. 一方Tfは前二者と異なり, HCC群においてのみ有意の低値を示し, 肝癌合併による宿主鉄代謝の変貌の可能性を示唆する興味ある所見とおもわれた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.631