腎移植後肝障害の検討

腎移植後の肝障害につき国立佐倉病院での腎移植163例を対象に検討した. このうち, 12例に肝障害がみられ, 投与薬剤の面からは6例がシクロスポリン症例であり, 肝炎ウイルスマーカーでは6例がHCV抗体陽性であった. また, 現在移植腎生着中の68例の第2世代抗HCV抗体を測定した. その結果10例が陽性, そのうち5例に肝障害を発症していた. 移植後肝障害にC型肝炎ウィルスの関与することが多いことが示唆された. 49歳の腎移植症後C型慢性活動性肝炎例に対し, インターフェロンβを投与した. 残念ながらHCV抗体の陰性化, トランスアミナーゼの正常化はみられなかった, 拒絶反応などの重篤な合併...

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Published in医療 Vol. 49; no. 4; pp. 298 - 303
Main Authors 柏原, 英彦, 坂本, 薫, 横山, 健郎, 浜口, 欣一, 植松, 武史, 佐藤, 慎一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1995
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.49.298

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Summary:腎移植後の肝障害につき国立佐倉病院での腎移植163例を対象に検討した. このうち, 12例に肝障害がみられ, 投与薬剤の面からは6例がシクロスポリン症例であり, 肝炎ウイルスマーカーでは6例がHCV抗体陽性であった. また, 現在移植腎生着中の68例の第2世代抗HCV抗体を測定した. その結果10例が陽性, そのうち5例に肝障害を発症していた. 移植後肝障害にC型肝炎ウィルスの関与することが多いことが示唆された. 49歳の腎移植症後C型慢性活動性肝炎例に対し, インターフェロンβを投与した. 残念ながらHCV抗体の陰性化, トランスアミナーゼの正常化はみられなかった, 拒絶反応などの重篤な合併症はなかったが, MLRを測定したところ, stimulation indexの上昇がみられ, 免疫系が賦活されていることが示唆された腎移植患者に対してインターフェロン治療を行う際には, 免疫系のモニタリングをした上で慎重に投与すべきと考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.49.298