慢性関節リウマチに対するFK506の臨床的検討

FK506は, 1984年に藤沢薬品工業株式会社において発見された放線菌streptomyces tsukubaensisが産生するマクロライド系の新規免疫抑制薬である1). 本薬は, シクロスポリン(CyA)とは化学構造がまったく異なるが, CyAと同様, カルシニューリンの燐酸化活性を阻害する. これにより, 活性型NFATの形成が抑制され, 感作T細胞からのインターロイキン2, γ-インターフェロンなどのサイトカインの産生を阻害すると考えられている2). これまでに, 臓器移植の領域で臨床応用され, その有効性と安全性が確認されている3~5). 慢性関節リウマチ(RA)は免疫異常を基盤と...

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Published in炎症・再生 Vol. 22; no. 3; pp. 213 - 226
Main Authors 原, まさ子, 柏崎, 禎夫, 廣瀬, 俊一, 内田, 詔爾, 入交, 昭一郎, 近藤, 啓文, 菅原, 幸子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2002
日本炎症・再生医学会
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ISSN1346-8022
1880-5795
DOI10.2492/jsir.22.213

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Summary:FK506は, 1984年に藤沢薬品工業株式会社において発見された放線菌streptomyces tsukubaensisが産生するマクロライド系の新規免疫抑制薬である1). 本薬は, シクロスポリン(CyA)とは化学構造がまったく異なるが, CyAと同様, カルシニューリンの燐酸化活性を阻害する. これにより, 活性型NFATの形成が抑制され, 感作T細胞からのインターロイキン2, γ-インターフェロンなどのサイトカインの産生を阻害すると考えられている2). これまでに, 臓器移植の領域で臨床応用され, その有効性と安全性が確認されている3~5). 慢性関節リウマチ(RA)は免疫異常を基盤として発症する慢性炎症性疾患で, 特にT細胞が重要な働きをしていることが明らかになってきている6). したがって, T細胞に対して特異的に作用するCyAや本薬のRAに対する臨床応用の可能性が示唆されてきた. CyAについては, すでに国内外で多くの臨床試験が実施され, RA活動性の抑制効果が報告7, 8)されているが, 副作用, 特に腎障害が問題であった.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.22.213