抗MuSK抗体陽性の重症筋無力症の妊婦例と新生児一過性重症筋無力症児例

症例は30歳女性である.妊娠2カ月時に構音・嚥下障害が出現し,抗MuSK抗体陽性の重症筋無力症(MG)と診断.妊娠8カ月にとくに誘因なく球症状の増悪,四肢脱力をみとめ入院.妊娠37週で単純血漿交換(PE)をおこない,38週に帝王切開で女児を出産した.出生児は血清・臍帯血の抗MuSK抗体陽性で,哺乳力が弱く,一過性新生児MGと診断した.抗MuSK抗体陽性MGの妊婦では,これまで妊娠中から計画的にMGを管理した報告はない.抗AChR抗体陽性MGの妊娠・出産の通常の管理に加え,抗MuSK抗体陽性のMGでは球麻痺による症状の管理が主体となり,母児の栄養障害や羊水過多に注意し,遅滞なく単純PEをおこなう...

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Published in臨床神経学 Vol. 51; no. 3; pp. 188 - 191
Main Authors 神崎, 昭浩, 本村, 政勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2011
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.51.188

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Summary:症例は30歳女性である.妊娠2カ月時に構音・嚥下障害が出現し,抗MuSK抗体陽性の重症筋無力症(MG)と診断.妊娠8カ月にとくに誘因なく球症状の増悪,四肢脱力をみとめ入院.妊娠37週で単純血漿交換(PE)をおこない,38週に帝王切開で女児を出産した.出生児は血清・臍帯血の抗MuSK抗体陽性で,哺乳力が弱く,一過性新生児MGと診断した.抗MuSK抗体陽性MGの妊婦では,これまで妊娠中から計画的にMGを管理した報告はない.抗AChR抗体陽性MGの妊娠・出産の通常の管理に加え,抗MuSK抗体陽性のMGでは球麻痺による症状の管理が主体となり,母児の栄養障害や羊水過多に注意し,遅滞なく単純PEをおこなう必要があると考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.51.188