髄液抗グルタミン酸受容体ε2抗体陽性の非ヘルペス性急性辺縁系脳炎をともなったVogt-小柳-原田病の1例

42歳女性例を報告する.視力低下で発症し,頭痛,耳鳴,情動異常が出現した.胞状網膜剥離,蛍光眼底造影検査での脈絡膜の充盈遅延,点状漏出,乳頭の過蛍光よりVogt-小柳-原田病(原田病)と診断した.髄液検査で単核球優位の細胞数増多,抗グルタミン酸受容体(GluR)ε2 IgM型抗体陽性,頭部MRIにて左海馬傍回に病変をみとめ,辺縁系脳炎が考えられた.神経症状,髄液所見はステロイド療法で改善した.原田病の病態として自己免疫機序が報告されているが,本例における脳炎の発症にも抗GluR抗体などの抗神経抗体の関与の可能性が考えられた.これまで原田病にともなう辺縁系脳炎の報告はないが,今後留意する必要があ...

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Published in臨床神経学 Vol. 49; no. 8; pp. 483 - 487
Main Authors 高橋, 幸利, 伊東, 真知子, 石橋, 正人, 増田, 曜章, 熊本, 俊秀, 木村, 成志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2009
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.49.483

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Summary:42歳女性例を報告する.視力低下で発症し,頭痛,耳鳴,情動異常が出現した.胞状網膜剥離,蛍光眼底造影検査での脈絡膜の充盈遅延,点状漏出,乳頭の過蛍光よりVogt-小柳-原田病(原田病)と診断した.髄液検査で単核球優位の細胞数増多,抗グルタミン酸受容体(GluR)ε2 IgM型抗体陽性,頭部MRIにて左海馬傍回に病変をみとめ,辺縁系脳炎が考えられた.神経症状,髄液所見はステロイド療法で改善した.原田病の病態として自己免疫機序が報告されているが,本例における脳炎の発症にも抗GluR抗体などの抗神経抗体の関与の可能性が考えられた.これまで原田病にともなう辺縁系脳炎の報告はないが,今後留意する必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.49.483