歯周炎患者血清中の抗Porphyromonas gingivalis抗体に対する抗イディオタイプ抗体の解析
Porphyromonas gingivalisと歯周炎患者の宿主寄生体間関係に関する理解を深める目的で, イディオタイプ (Id) 調節機構の存在について基礎的検討を行った。P. gingivalisに反応する種々のマウスモノクローナル抗体 (MoAb) を作製し, それらのMoAbの中で患者血清に存在する抗体 (Ab 1) と同一のエピトープ特異性を有すると考えられたPF18のIdに対する抗Id抗体 (Ab2) の存在, およびPF18のIdに対するMoAbを用いてPF18-Id保有Ab1の存在を, ヒト血清においてELISAにて検討した。Ab2は被検患者10名中9名に検出されたが健常人に...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 35; no. 1; pp. 63 - 83 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
1993
日本歯周病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0385-0110 1880-408X |
DOI | 10.2329/perio.35.63 |
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Summary: | Porphyromonas gingivalisと歯周炎患者の宿主寄生体間関係に関する理解を深める目的で, イディオタイプ (Id) 調節機構の存在について基礎的検討を行った。P. gingivalisに反応する種々のマウスモノクローナル抗体 (MoAb) を作製し, それらのMoAbの中で患者血清に存在する抗体 (Ab 1) と同一のエピトープ特異性を有すると考えられたPF18のIdに対する抗Id抗体 (Ab2) の存在, およびPF18のIdに対するMoAbを用いてPF18-Id保有Ab1の存在を, ヒト血清においてELISAにて検討した。Ab2は被検患者10名中9名に検出されたが健常人には全く認められなかった。Id保有Ab1は, Ab2が検出された患者全員に検出され, また健常人でも弱陽性を示すものが2名いた。患者血清中においてAb2は, Ab1と可溶性免疫複合体を形成して存在しているものと推定された。以上のように歯周炎においてもIdによる免疫応答調節機構が存在することが示唆された。 |
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ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.35.63 |