頸髄損傷における上肢筋力の回復

脊髄傷後の機能障害の回復については, 従来から脊髄のlong tractの機能, すなわち下肢機能を中心に論じられてきた. 代表的な機能評価法としてFrankelら1)やMaynardら2)の重症度分類が広く用いられている. その一方で, 損傷高位付近の機能回復がある程度起きることも以前から指摘されてはいたが, これに着目して臨床経過を詳しく調べた報告がなされるようになったのは最近のことである. 特に頸髄損傷患者にとって, 損傷部付近の機能回復, すなわち上肢機能の回復は極めて重要であり, 上肢機能のわずかな違いがADL, 社会活動などに大きな影響を及ぼすことは周知の事実である. ここでは外傷...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 6; pp. 361 - 366
Main Author 永田, 雅章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 1995
日本リハビリテーション医学会
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ISSN0034-351X
1880-778X
DOI10.2490/jjrm1963.32.361

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Summary:脊髄傷後の機能障害の回復については, 従来から脊髄のlong tractの機能, すなわち下肢機能を中心に論じられてきた. 代表的な機能評価法としてFrankelら1)やMaynardら2)の重症度分類が広く用いられている. その一方で, 損傷高位付近の機能回復がある程度起きることも以前から指摘されてはいたが, これに着目して臨床経過を詳しく調べた報告がなされるようになったのは最近のことである. 特に頸髄損傷患者にとって, 損傷部付近の機能回復, すなわち上肢機能の回復は極めて重要であり, 上肢機能のわずかな違いがADL, 社会活動などに大きな影響を及ぼすことは周知の事実である. ここでは外傷性の頸髄損傷に限定して, 損傷部付近の機能回復のうち上肢筋力の回復に焦点を当て, 近年明らかにされてきた臨床的回復過程と, その回復のメカニズムについて述べる.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.32.361