善通寺市における乳癌検診と行政の役割

善通寺市における過去12年間の乳癌集団検診の経緯をまとめ, 検診の質の向上のための要因とその効果について報告する。 受診者総数は17,035名で, 近年の受診率は約25%である。検診成績は, 要精検者1,281名 (7.5%), 精検受診者1,277名 (99.7%), 発見乳癌21例 (0.12%), 中間期発見乳癌8例となっている。この間, 質のよい検診を住民に提供するための具体策として, (1) きめ細かなデータ管理, (2) ボランティアの活用, (3) 個人記録の継続使用, (4) 保健婦による徹底した個別指導, (5) 三次検診実施医療機関との連携, (6) 検診医に対するデータの...

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Published in日本乳癌検診学会誌 Vol. 5; no. 2; pp. 219 - 225
Main Authors 森本, 忠興, 藤田, 美保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会 1996
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ISSN0918-0729
1882-6873
DOI10.3804/jjabcs.5.219

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Summary:善通寺市における過去12年間の乳癌集団検診の経緯をまとめ, 検診の質の向上のための要因とその効果について報告する。 受診者総数は17,035名で, 近年の受診率は約25%である。検診成績は, 要精検者1,281名 (7.5%), 精検受診者1,277名 (99.7%), 発見乳癌21例 (0.12%), 中間期発見乳癌8例となっている。この間, 質のよい検診を住民に提供するための具体策として, (1) きめ細かなデータ管理, (2) ボランティアの活用, (3) 個人記録の継続使用, (4) 保健婦による徹底した個別指導, (5) 三次検診実施医療機関との連携, (6) 検診医に対するデータのフィードバック, を基本方針に掲げ, 検診体制の整備に努めてきた。 その結果, (1) 比較的高い受診率を維持している, (2) 精検受診率が高い, (3) 癌発見率が視・触診法の集団検診としては高い, (4) 発見乳癌中, 早期癌の比率が向上してきた, 等の顕著な効果が得られた。 問題点としては, (1) 検診医1名当りの検診数が1時間に40名近くになることもあり, 検診精度を保つためにはスケジュールが過密すぎる, (2) 個人カードを継続使用するため, カード整理や当日の業務が煩雑になる, (3) 三次検診実施機関が市内に1カ所しかない, (4) 乳癌発見率の高い60歳以上の受診率が低い, 等が挙げられ, 今後の課題として取り組んでいかなければならない。
ISSN:0918-0729
1882-6873
DOI:10.3804/jjabcs.5.219