下顎後方位における噛みしめ時の胸鎖乳突筋の活動

「I. 緒言」 咀嚼あるいは噛みしめなどに伴い咬合力が発揮されるときには, 閉口筋群のみならず胸鎖乳突筋も活動していること1~4)が報告されている. また, 顎機能障害患者のなかには頸部痛を訴える者もあり5,6), 咬合障害, 特に非作業側臼歯部の咬合障害7)や咬頭嵌合位の後方偏位に起因する胸鎖乳突筋の疼痛症例8)などが報告されている. 胸鎖乳突筋の筋活動と下顎の後方偏位に関して, 佐藤ら9)は, 上下顎歯列を歯列弓中央部で一点支持する口内装置を使用して, 最大噛みしめ力とともに咀嚼筋と胸鎖乳突筋の筋活動量を計測した. その結果, 胸鎖乳突筋の筋活動量は噛みしめ強さの増加とともに緩やかに上昇し...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 43; no. 3; pp. 568 - 574
Main Authors 関本, 智信, 湊, 修, 澤田, 宏二, 河野, 正司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 1999
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.43.568

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Summary:「I. 緒言」 咀嚼あるいは噛みしめなどに伴い咬合力が発揮されるときには, 閉口筋群のみならず胸鎖乳突筋も活動していること1~4)が報告されている. また, 顎機能障害患者のなかには頸部痛を訴える者もあり5,6), 咬合障害, 特に非作業側臼歯部の咬合障害7)や咬頭嵌合位の後方偏位に起因する胸鎖乳突筋の疼痛症例8)などが報告されている. 胸鎖乳突筋の筋活動と下顎の後方偏位に関して, 佐藤ら9)は, 上下顎歯列を歯列弓中央部で一点支持する口内装置を使用して, 最大噛みしめ力とともに咀嚼筋と胸鎖乳突筋の筋活動量を計測した. その結果, 胸鎖乳突筋の筋活動量は噛みしめ強さの増加とともに緩やかに上昇し, その後最大噛みしめの約80%の強さに至ると, 胸鎖乳突筋の筋活動量が急激に上昇することを示した. しかし, 胸鎖乳突筋に疼痛を訴えている顎機能障害症例は, 咬頭嵌合位の下顎位に異常が認められる症例であっても, そのほとんどは上下顎歯列が咬頭嵌合しており, 佐藤らの報告9)した一点支持の状況とは必ずしも一致しない. そこで本研究では, 片顎の歯列咬合面にレジンスプリントを装着して, 上下顎が多数歯で咬頭嵌合する状態で下顎位を規定し, 下顎の後方偏位が噛みしめ時の胸鎖乳突筋の活動様相に与える影響について観察した.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.43.568