上腸間膜静脈腫瘍塞栓の診断にCT portographyが有用であった上行結腸癌の1例

大腸癌において腸間膜静脈内に腫瘍塞栓を形成する進展様式は稀である.今回,上腸間膜静脈(SMV)に腫瘍塞栓を形成した上行結腸癌の1例を経験した.症例は66歳の女性.嘔吐と腹部膨満感を主訴に来院した.検査の結果上行結腸癌と診断された.CT portographyではSMV本幹に陰影欠損を認め,腫瘍塞栓の存在が強く示唆された.開腹すると原発巣と腫大リンパ節が大きな腫瘤を形成し,SMV本幹は約3cmにわたる腫瘍塞栓によって閉塞していた.結腸右半切除,D3,十二指腸部分切除,SMV合併切除を施行して完全切除した.病理組織学的診断は原発巣,腫瘍塞栓ともに中分化腺癌(tub2)で,原発巣に高度脈管侵襲(ly...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 62; no. 1; pp. 38 - 43
Main Authors 益子, 博幸, 岡田, 邦明, 石津, 寛之, 山上, 英樹, 近藤, 征文, 本間, 重紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2009
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.62.38

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Summary:大腸癌において腸間膜静脈内に腫瘍塞栓を形成する進展様式は稀である.今回,上腸間膜静脈(SMV)に腫瘍塞栓を形成した上行結腸癌の1例を経験した.症例は66歳の女性.嘔吐と腹部膨満感を主訴に来院した.検査の結果上行結腸癌と診断された.CT portographyではSMV本幹に陰影欠損を認め,腫瘍塞栓の存在が強く示唆された.開腹すると原発巣と腫大リンパ節が大きな腫瘤を形成し,SMV本幹は約3cmにわたる腫瘍塞栓によって閉塞していた.結腸右半切除,D3,十二指腸部分切除,SMV合併切除を施行して完全切除した.病理組織学的診断は原発巣,腫瘍塞栓ともに中分化腺癌(tub2)で,原発巣に高度脈管侵襲(ly2,v3)を認めた.最終進行度診断はpSI(大網·十二指腸),pN1,cP0,cH0,cM0,fStage IIIaであった.術後はFOLFIRI療法を施行,1年10カ月の現在まで無再発で経過している.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.62.38