「進まない分娩」に対する開業助産師の助産ケア
目 的開業助産師の「進まない分娩」に対する判断,ならびに分娩進行を促すために行う助産ケアの実態を明らかにすることである。対象と方法対象者は,助産師経験15年以上,開業助産師経験3年以上の開業助産師3名である。データは半構成的面接によって収集し,対象者の同意を得てICレコーダーに録音した。面接では,開業助産師の妊娠期から分娩期の「進まない分娩」に対する判断,およびその判断に対して行う助産ケアの実際について自由に語ってもらった。分析は,面接内容を逐語録化した後,KJ法の手法を用いた。結 果開業助産師は【分娩に向き合う姿勢】を大切にした上で,【自然界に生きる人間としての妊産婦すべてを診る視点】を常に...
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| Published in | 日本助産学会誌 Vol. 34; no. 2; pp. 204 - 215 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本助産学会
2020
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0917-6357 1882-4307 |
| DOI | 10.3418/jjam.JJAM-2020-0015 |
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| Summary: | 目 的開業助産師の「進まない分娩」に対する判断,ならびに分娩進行を促すために行う助産ケアの実態を明らかにすることである。対象と方法対象者は,助産師経験15年以上,開業助産師経験3年以上の開業助産師3名である。データは半構成的面接によって収集し,対象者の同意を得てICレコーダーに録音した。面接では,開業助産師の妊娠期から分娩期の「進まない分娩」に対する判断,およびその判断に対して行う助産ケアの実際について自由に語ってもらった。分析は,面接内容を逐語録化した後,KJ法の手法を用いた。結 果開業助産師は【分娩に向き合う姿勢】を大切にした上で,【自然界に生きる人間としての妊産婦すべてを診る視点】を常に持ち,すべての妊産婦にかかわっていた。妊娠期には【順調な分娩進行につなげるための妊娠期からのアドバイス】をしていた。また分娩期には【基礎的な知識と経験で培われた判断材料】をもとに分娩進行を判断していた。そして,その判断をもとに【分娩期の状況を見極めたケア】を行い,分娩が順調に進行するようサポートしていた。結 論開業助産師は,妊産婦と相互に信頼関係を築き,助産師と妊産婦の互いが母子の持つ能力や可能性を信じて,ともに分娩をあるがまま受け入れられるようにかかわることを大切にしていた。そして,妊娠期から継続してホリスティックな視点で「進まない分娩」に移行する可能性を予測し,分娩を順調に進行させるために準備するケアを行っていた。また分娩期には「進まない分娩」に対し,妊娠期からかかわる中で見えてきた情報をもとに,その時々の状況に応じて必要なケアを見極め,実践していた。今後,このような開業助産師の助産ケアを,妊産婦のケアに携わる助産師が共有し,伝承していく必要があると考える。 |
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| ISSN: | 0917-6357 1882-4307 |
| DOI: | 10.3418/jjam.JJAM-2020-0015 |