低異型度虫垂粘液性腫瘍による腸重積に対し,腹腔鏡補助下に切除を施行した1例

症例は26歳,男性.腹痛が増悪し,嘔気を伴ったため当院受診となった.腹部造影CTでは,虫垂から連続する径35mm大の嚢胞性腫瘍を先進部とする上行結腸重積を認めた.虫垂腫瘍,腸重積と判断し,診断と治療を目的に腹腔鏡補助下に手術を施行した.虫垂先端部は軽度腫大を認め,虫垂根部が上行結腸内に重積をしている所見を認め,腹腔鏡補助下盲腸部分切除術,腸重積症整復術を施行した.病理診断は,低異型度虫垂粘液性腫瘍(LAMN)であった.LAMNは大腸癌取り扱い規約第8版において,新たに分類された.LAMNは明確な治療法は存在せず,さらに術前診断も困難である.腸重積をきたすような場合には後腹膜と回盲部の固定が緩く...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 74; no. 5; pp. 296 - 302
Main Authors 柿添, 学, 諏訪, 宏和, 津浦, 幸夫, 渡邉, 純, 小澤, 真由美, 佐藤, 清哉, 大矢, 浩貴, 笹本, 真覇人, 工藤, 孝迪, 石部, 敦士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2021
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.74.296

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Summary:症例は26歳,男性.腹痛が増悪し,嘔気を伴ったため当院受診となった.腹部造影CTでは,虫垂から連続する径35mm大の嚢胞性腫瘍を先進部とする上行結腸重積を認めた.虫垂腫瘍,腸重積と判断し,診断と治療を目的に腹腔鏡補助下に手術を施行した.虫垂先端部は軽度腫大を認め,虫垂根部が上行結腸内に重積をしている所見を認め,腹腔鏡補助下盲腸部分切除術,腸重積症整復術を施行した.病理診断は,低異型度虫垂粘液性腫瘍(LAMN)であった.LAMNは大腸癌取り扱い規約第8版において,新たに分類された.LAMNは明確な治療法は存在せず,さらに術前診断も困難である.腸重積をきたすような場合には後腹膜と回盲部の固定が緩く可動性が良好であり,腹腔鏡の手術手技が比較的容易である.今回,腸重積を合併したLAMNに対して腹腔鏡補助下に手術で切除し大腸の温存をし得た1例を経験したので文献的考察をふまえて報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.74.296