鼠径ヘルニア術後17年で盲腸逸脱を生じたメッシュプラグを内視鏡的に診断した1例
症例は70歳,男性.50歳時に右鼠径ヘルニアを診断され,メッシュプラグ(以下MP)法で手術を施行された.術後17年目に右下腹部の違和感を主訴に受診し,下部消化管内視鏡検査で盲腸内に脱出するMPを認めた.MP除去をすすめたが本人の強い希望で3年間経過観察となり,術後20年で恥骨部の皮膚発赤・腫脹・硬結を認め,造影CT検査で恥骨上の皮下膿瘍を診断し,切開排膿した.膿瘍腔の造影で鼠径管を介して盲腸への造影剤の流入を認め,MPの鼠径管-盲腸瘻を介した遅発感染と診断した.治療は回盲部切除術およびメッシュ除去・瘻孔切除術を施行した.術後17年で内視鏡下先行に腸管にMPの逸脱を診断され,術後20年で遅発性感...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 115 - 120 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2020
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.73.115 |
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Summary: | 症例は70歳,男性.50歳時に右鼠径ヘルニアを診断され,メッシュプラグ(以下MP)法で手術を施行された.術後17年目に右下腹部の違和感を主訴に受診し,下部消化管内視鏡検査で盲腸内に脱出するMPを認めた.MP除去をすすめたが本人の強い希望で3年間経過観察となり,術後20年で恥骨部の皮膚発赤・腫脹・硬結を認め,造影CT検査で恥骨上の皮下膿瘍を診断し,切開排膿した.膿瘍腔の造影で鼠径管を介して盲腸への造影剤の流入を認め,MPの鼠径管-盲腸瘻を介した遅発感染と診断した.治療は回盲部切除術およびメッシュ除去・瘻孔切除術を施行した.術後17年で内視鏡下先行に腸管にMPの逸脱を診断され,術後20年で遅発性感染を発症した報告例はなく,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.73.115 |