関節リウマチにおける動脈硬化疾患発症機序の基礎的検討

【背景と目的】関節リウマチ(RA)の平均寿命は一般のそれに較べ10年以上短く、冠動脈疾患など動脈硬化性疾患も有意に多いとされている。我々は急性期蛋白の一つであるSerum Amyloid A(SAA)に注目し、RA患者の血清リポ蛋白像とHDL機能の検討と、血管平滑筋細胞(HASMC)のSAA産生能及びSAAのHASMCに及ぼす影響について検討した。【対象と方法】対象は通院治療中のRA患者で、血中SAA、リポ蛋白、パラオキソナーゼ(PON)活性、レシチンコレルテロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性等を測定し、HDL機能を評価した。また、HASMCを用いて、SAAの産生能とSAAのHAS...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 35; p. 115
Main Authors 池田, 幸雄, 末廣, 正, 橋本, 浩三, 公文, 義雄, 有井, 薫, 杉浦, 哲朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2007
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.35.0.115.0

Cover

More Information
Summary:【背景と目的】関節リウマチ(RA)の平均寿命は一般のそれに較べ10年以上短く、冠動脈疾患など動脈硬化性疾患も有意に多いとされている。我々は急性期蛋白の一つであるSerum Amyloid A(SAA)に注目し、RA患者の血清リポ蛋白像とHDL機能の検討と、血管平滑筋細胞(HASMC)のSAA産生能及びSAAのHASMCに及ぼす影響について検討した。【対象と方法】対象は通院治療中のRA患者で、血中SAA、リポ蛋白、パラオキソナーゼ(PON)活性、レシチンコレルテロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性等を測定し、HDL機能を評価した。また、HASMCを用いて、SAAの産生能とSAAのHASMC遊走に及ぼす影響を検討した。【結果】健常人に較べてRA患者の血中SAAは高値で、HDLコレステロール(HDL-C)は低値、PON活性やLCAT活性も低値であった。HASMCはSAAを産生し、SAAはHASMCの遊走を濃度依存性に誘導した。【考察】近年、動脈硬化発症予防におけるHDLの重要性が報告されている。RA患者ではHDL-Cが低値で、抗酸化能やコレステロール逆転送能は低下していた。一方、HASMCはSAAを産生し、産生されたSAAはHASMCを遊走させる。これらのことより、RAでは動脈の内腔側及び血管壁側の両面から動脈硬化の発症や進展が惹起されると考えられる。
Bibliography:74
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.35.0.115.0