感覚性ニューロパチーが先行し,腫瘍寛解後に辺縁系脳炎を発症した抗Hu抗体陽性傍腫瘍性神経症候群の1例

症例は68歳男性である.65歳時から四肢遠位部の感覚障害が徐々に進行し,傍腫瘍性神経症候群をうたがうも悪性腫瘍は指摘できず,ステロイドや免疫グロブリン療法にも反応しなかった.原因不明の感覚性ニューロパチーとして経過をみたが,その後胸部CTで縦隔リンパ節腫大をみとめ,小細胞肺癌と診断された.化学療法を開始し腫瘍の消失をみとめたが,その半年後より記銘力障害が出現した.頭部MRIで海馬周囲に異常信号域をみとめ,抗Hu抗体が強陽性であったことから傍腫瘍性感覚性ニューロパチーと辺縁系脳炎の合併と考えられた.腫瘍消失後に傍腫瘍性辺縁系脳炎を合併した報告例はなく,寛解後も神経障害がおこりえることを認識する必...

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Published in臨床神経学 Vol. 53; no. 4; pp. 287 - 292
Main Authors 横井, 孝政, 深見, 祐樹, 下野, 哲典, 上條, 美樹子, 梅村, 敏隆, 榊原, 敏正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2013
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.53.287

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Summary:症例は68歳男性である.65歳時から四肢遠位部の感覚障害が徐々に進行し,傍腫瘍性神経症候群をうたがうも悪性腫瘍は指摘できず,ステロイドや免疫グロブリン療法にも反応しなかった.原因不明の感覚性ニューロパチーとして経過をみたが,その後胸部CTで縦隔リンパ節腫大をみとめ,小細胞肺癌と診断された.化学療法を開始し腫瘍の消失をみとめたが,その半年後より記銘力障害が出現した.頭部MRIで海馬周囲に異常信号域をみとめ,抗Hu抗体が強陽性であったことから傍腫瘍性感覚性ニューロパチーと辺縁系脳炎の合併と考えられた.腫瘍消失後に傍腫瘍性辺縁系脳炎を合併した報告例はなく,寛解後も神経障害がおこりえることを認識する必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.53.287