無症状胆石の経過と治療方針に関する臨床的ならびに病理学的研究

1972年1月から1987年12月までの16年間に経験した胆石症2,515例中,無症状胆石は493例(19.6%)であった.内訳は当科を受診した278例および離島での成人病集団検診により診断した215例で,その頻度は当科受診例では胆石症の12.8%,集団検診例では胆石症の62.7%であった.無症状胆石は無症状のまま長期間経過するものが多く,最長経過観察例は16年間であった.経過中に症状が出現する頻度は比較的低く(12.9%),症状が出現して手術を要した症例でも予後は良好であった.胆嚢癌の合併は1例(0.4%)のみであった. 以上の成績から, 無症状胆石の治療は早急に手術を行う必要はなく, 経過...

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Published in胆道 Vol. 2; no. 4; pp. 444 - 450
Main Author 小川, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1988
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.2.4_444

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Summary:1972年1月から1987年12月までの16年間に経験した胆石症2,515例中,無症状胆石は493例(19.6%)であった.内訳は当科を受診した278例および離島での成人病集団検診により診断した215例で,その頻度は当科受診例では胆石症の12.8%,集団検診例では胆石症の62.7%であった.無症状胆石は無症状のまま長期間経過するものが多く,最長経過観察例は16年間であった.経過中に症状が出現する頻度は比較的低く(12.9%),症状が出現して手術を要した症例でも予後は良好であった.胆嚢癌の合併は1例(0.4%)のみであった. 以上の成績から, 無症状胆石の治療は早急に手術を行う必要はなく, 経過観察をして症状が出現した時に手術を考慮すればよいと考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.2.4_444