経頭蓋的磁気刺激による60秒間の定常的なペダリング運動時の中枢性疲労の検討

1.健常成人11名を対象として, 60秒間のペダリング運動中に経頭蓋的磁気刺激 (TMS) による運動誘発電位 (MEP) を大腿直筋 (RF) および外側広筋 (VL) から誘発し, その動態を調べた.ペダリング運動の負荷は最大無酸素パワーが発揮可能な負荷の100% (HL課題) および80% (LL課題) であった.ペダル頻度は, LL課題の場合, 最大無酸素パワー発揮の最適負荷の80%における全力ペダリング頻度の50%とした.HL課題におけるペダリング頻度はLL課題での発揮パワーと等しくなるように設定した. 2.筋電図振幅値 (RMS) は両運動課題ともに課題開始後30秒以降に増加し,...

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Published in体力科学 Vol. 52; no. 5; pp. 565 - 574
Main Authors 三田村, 将史, 小宮山, 伴与志, 遠藤, 隆志, 高橋, 麗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本体力医学会 2003
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ISSN0039-906X
1881-4751
DOI10.7600/jspfsm1949.52.565

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Summary:1.健常成人11名を対象として, 60秒間のペダリング運動中に経頭蓋的磁気刺激 (TMS) による運動誘発電位 (MEP) を大腿直筋 (RF) および外側広筋 (VL) から誘発し, その動態を調べた.ペダリング運動の負荷は最大無酸素パワーが発揮可能な負荷の100% (HL課題) および80% (LL課題) であった.ペダル頻度は, LL課題の場合, 最大無酸素パワー発揮の最適負荷の80%における全力ペダリング頻度の50%とした.HL課題におけるペダリング頻度はLL課題での発揮パワーと等しくなるように設定した. 2.筋電図振幅値 (RMS) は両運動課題ともに課題開始後30秒以降に増加し, 特にVLではHI.課題の方がLL課題に比して有意に大きかった. 3.MEP面積は両課題ともに開始直後から増加傾向を示したが, HL課題よりLL課題の方が有意に大きかった.MEP出現後に観察されるSPはLL課題では運動課題開始直後急速に増大し, その後漸減する傾向を示したが, HL課題では増加局面は見られず漸減傾向を示した.MEP持続時間は両課題とも運動開始直後から漸増する傾向を示したが, VLではLL及びHL課題間に有意な差が見られた. 4.持続的な等尺性筋収縮時とLLおよびHL課題時に得られた背景筋電図量とMEPの相関は持続的運動時には正の有意な比例関係を示したが, LLおよびHL課題時には背景筋電図量とMEP間に有意な相関は見られなくなった. 5.これらの結果は, 発揮パワーが同一でもペダリング頻度と負荷の違いにより課題依存的に中枢性疲労の発現動態が異なること, また皮質脊髄路から筋に至る経路はペダリング運動時と静的な筋力発揮時では異なる制御を受ける可能性が示唆された.
ISSN:0039-906X
1881-4751
DOI:10.7600/jspfsm1949.52.565