虫垂切除術後に杯細胞カルチノイドの診断となり追加切除を行った1例

症例は46歳,女性.腹痛精査のCTで穿孔性虫垂炎,回盲部周囲膿瘍と診断され,52日後に待機的腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理診断で虫垂杯細胞カルチノイド(以下,GCC)の診断となった.漿膜面や外科的剥離面への露出,口側断端陽性が否定し得ず,初回手術から27日後に追加切除として腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.骨盤腔内と右横隔膜下に腹膜結節を認め,小骨盤腔の結節を切除した.病理診断では,残存虫垂にもGCCが認められ,腹膜結節は虫垂GCCの腹膜播種であった.遠隔腹膜への播種転移のためStageIVcの診断で,SOX療法を開始した.現在は術後16ヵ月,無増悪生存中である.虫垂GCCは虫垂炎手術で予期...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 8; pp. 399 - 402
Main Authors 永田, 千草, 小松﨑, 修平, 福沢, 淳也, 川松, 夏実, 野﨑, 礼史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.399

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Summary:症例は46歳,女性.腹痛精査のCTで穿孔性虫垂炎,回盲部周囲膿瘍と診断され,52日後に待機的腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理診断で虫垂杯細胞カルチノイド(以下,GCC)の診断となった.漿膜面や外科的剥離面への露出,口側断端陽性が否定し得ず,初回手術から27日後に追加切除として腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.骨盤腔内と右横隔膜下に腹膜結節を認め,小骨盤腔の結節を切除した.病理診断では,残存虫垂にもGCCが認められ,腹膜結節は虫垂GCCの腹膜播種であった.遠隔腹膜への播種転移のためStageIVcの診断で,SOX療法を開始した.現在は術後16ヵ月,無増悪生存中である.虫垂GCCは虫垂炎手術で予期せず診断に至ることが多い.追加切除の基準や,有効な化学療法にはまだ定まった見解がなく,更なる症例の蓄積が希求される.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.399