同時性多発肝転移を伴った0-Ip型大腸腺腫内T1b癌の1例

73歳男性,主訴は血便.S状結腸に40mmの隆起性病変と多発肝腫瘤を認めた.隆起性病変内部に癌の存在を疑いS状結腸切除術と,肝表面の小結節を生検目的に切除した.S状結腸の病変は有茎性ポリープに生じた管状絨毛腺腫内癌で,ポリープ茎部でわずかに粘膜下層に浸潤し毛細血管よりも径が大きい小静脈を侵襲していた.肝臓の小結節は大腸癌肝転移であった.有茎性大腸ポリープ茎部には毛細血管や細静脈より中枢側の血管が集束し走行(stalk vessels)している.粘膜下層浸潤大腸癌における同時性肝転移の陽性率は0.2%と低いが,本症例のような病理学的特徴を有する場合は文献的に肝転移の可能性が高まることを念頭に注意...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 484 - 491
Main Authors 大森, 隆夫, 馬場, 洋一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2023
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.76.484

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Summary:73歳男性,主訴は血便.S状結腸に40mmの隆起性病変と多発肝腫瘤を認めた.隆起性病変内部に癌の存在を疑いS状結腸切除術と,肝表面の小結節を生検目的に切除した.S状結腸の病変は有茎性ポリープに生じた管状絨毛腺腫内癌で,ポリープ茎部でわずかに粘膜下層に浸潤し毛細血管よりも径が大きい小静脈を侵襲していた.肝臓の小結節は大腸癌肝転移であった.有茎性大腸ポリープ茎部には毛細血管や細静脈より中枢側の血管が集束し走行(stalk vessels)している.粘膜下層浸潤大腸癌における同時性肝転移の陽性率は0.2%と低いが,本症例のような病理学的特徴を有する場合は文献的に肝転移の可能性が高まることを念頭に注意深いサーベイランスを行う必要があると考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.76.484