熟練術者のtrifectaを可及的に損なわないための教育システムの構築 ロボット支援前立腺全摘除術─RARPにおける手術教育 コンソールドクターの育成について

ロボット支援下根治的前立腺摘除術 (RARP) はもはや前立腺全摘におけるGold standardと言える程普及してきており, 術者教育に目を向ける事は重要な課題と言える. da Vinci surgical systemでは, 従来の腹腔鏡手術と同様に術者と助手, および指導者が同じ術野を共用できるのみならず指導者がモニター画面に描き込んだ線が術者の画面に反映されるため, 言葉のみで伝達不十分な指示をより具体的に示すことができる. ダヴィンチはその優れた操作性のみならず, 術者の教育にも適した機器である. 当科では2011年9月からRARPを開始し, これまで1000例を超える症例に施行し...

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Published inJapanese Journal of Endourology Vol. 31; no. 1; pp. 22 - 26
Main Authors 篠崎, 哲男, 小林, 将行, 小丸, 淳, 大塚, 真史, 植村, 俊彦, 竹下, 暢重, 深沢, 賢, 市川, 智彦, 鎌迫, 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本泌尿器内視鏡学会 01.04.2018
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ISSN2186-1889
2187-4700
DOI10.11302/jsejje.31.22

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Summary:ロボット支援下根治的前立腺摘除術 (RARP) はもはや前立腺全摘におけるGold standardと言える程普及してきており, 術者教育に目を向ける事は重要な課題と言える. da Vinci surgical systemでは, 従来の腹腔鏡手術と同様に術者と助手, および指導者が同じ術野を共用できるのみならず指導者がモニター画面に描き込んだ線が術者の画面に反映されるため, 言葉のみで伝達不十分な指示をより具体的に示すことができる. ダヴィンチはその優れた操作性のみならず, 術者の教育にも適した機器である. 当科では2011年9月からRARPを開始し, これまで1000例を超える症例に施行してきた. 開始から2015年1月までに当科で施行した500例の検討では, 術者は8名でコンソールおよび手術時間は症例数が増加するに従い統計学的に有意に短縮されていた. 本稿では術者のラーニングカーブ達成のために当科で行っている術者教育の実際について解説する. 初回症例を行うまでに当科で課している事としては, ①実機でのトレーニング20時間以上②ダヴィンチシミュレーターでのトレーニング③第1助手として10例以上を経験④熟練者の症例でレチウス腔展開の操作を行う, の4項目がある. これらが達成された上で初回症例を迎えるようにしている. 一方でプロクターは, 術中の安全面での配慮と共に手術時間のコントロールを行う. 手術ステップ毎に制限時間を設定し, コンソール時間4時間台で初回から手術の完遂を目指す指導をしている. 終了後にはプロクターから術者へフィードバックを必ず行うが, 特に術者開始直後は手技が自己流に陥りやすいため, 熟練者の手技をコピーするように特に指導している. プロクターに指摘された内容を踏まえて手術動画を見直す事がラーニングカーブ達成の近道である.
ISSN:2186-1889
2187-4700
DOI:10.11302/jsejje.31.22