ドイツ人とドイツ滞在日本人の手指における寒冷血管拡張反応と温熱血管収縮反応

ドイツ中部から南部地方に生まれ育ち, 3年から5年間中部都市近郊に居住するドイツ人8名と, 日本の関東以西 (除く沖縄) で生まれ育ち, 現在ドイツ中部都市近郊に平均2.7年滞在している日本人7名の寒冷血管拡張反応 (CIVD) とレーザー・ドップラー法 (LDF) による温熱血管収縮反応 (HIVC) をきき腕と反対側の中指について実施し, 併せて栄養摂取状況調査も行った. 中指を水温0.2℃に浸漬した時のCIVD諸値は, ドイツ人が日本人より高く, ドイツ在住日本人は文献値の日本人より高かった.手を35℃から43℃の温水に各10分間隔 (安定するのに3分間) で浸漬した時のLDF Volt...

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Published in体力科学 Vol. 46; no. 2; pp. 221 - 227
Main Authors 管原, 正志, 田井村, 明博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本体力医学会 1997
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ISSN0039-906X
1881-4751
DOI10.7600/jspfsm1949.46.221

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Summary:ドイツ中部から南部地方に生まれ育ち, 3年から5年間中部都市近郊に居住するドイツ人8名と, 日本の関東以西 (除く沖縄) で生まれ育ち, 現在ドイツ中部都市近郊に平均2.7年滞在している日本人7名の寒冷血管拡張反応 (CIVD) とレーザー・ドップラー法 (LDF) による温熱血管収縮反応 (HIVC) をきき腕と反対側の中指について実施し, 併せて栄養摂取状況調査も行った. 中指を水温0.2℃に浸漬した時のCIVD諸値は, ドイツ人が日本人より高く, ドイツ在住日本人は文献値の日本人より高かった.手を35℃から43℃の温水に各10分間隔 (安定するのに3分間) で浸漬した時のLDF Voltsを前値に対する相対値として指皮血流% (FBF%) からみたHIVCは, ドイツ人, 日本人共に水温35℃と38℃に現れた.FBF%は, 水温40℃で最低となった.また指皮温はドイツ人, 日本人共に上昇し, 水温43℃で有意にドイツ人が高かった.水温38~40℃での単位時間 (分) 当たりFBF%の減少と指皮温の上昇がともにドイツ人に大きく, また水温40℃以上で単位時間当たりFBF%の増加は日本人に大きく, 指皮温の上昇が日本人に小さかった. ドイツに居住する日本人の一日蛋白質摂取量は日本人平均値より多く, また体重1kg当たり一日蛋白質摂取量はドイツ人並みであった. CIVDは居住地環境や栄養摂取状況, HIVCは居住地環境に加え温熱感覚に影響されるものと推測される.
ISSN:0039-906X
1881-4751
DOI:10.7600/jspfsm1949.46.221