CD19はブレオマイシン誘導性肺線維症の病態形成に関与している

CD19はB細胞の活性を正に制御するシグナル伝達物質である。今回CD19の肺線維症病態への関与をCD19ノックアウトマウスとCD19トランスジェニックマウスを用いて検討した。ブレオマイシン気管内投与16日後の肺線維症はCD19ノックアウトマウスで野生型マウスに比べ有意に軽減していた。一方、CD19トランスジェニックマウスでは有意に重症化していた。ブレオマイシン投与7日後の気管支肺胞洗浄液中のB細胞数はCD19ノックアウトマウスで有意に減少、CD19トランスジェニックマウスでは有意に増加していた。B細胞の活性化を示唆するIL-6値、免疫グロブリン値もCD19ノックアウトマウスで有意に減少し、CD...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 36; p. 42
Main Authors 小村, 一浩, 簗場, 広一, 藤本, 学, 堀川, 真由香, 佐藤, 伸一, 小川, 文秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2008
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.36.0.42.0

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Summary:CD19はB細胞の活性を正に制御するシグナル伝達物質である。今回CD19の肺線維症病態への関与をCD19ノックアウトマウスとCD19トランスジェニックマウスを用いて検討した。ブレオマイシン気管内投与16日後の肺線維症はCD19ノックアウトマウスで野生型マウスに比べ有意に軽減していた。一方、CD19トランスジェニックマウスでは有意に重症化していた。ブレオマイシン投与7日後の気管支肺胞洗浄液中のB細胞数はCD19ノックアウトマウスで有意に減少、CD19トランスジェニックマウスでは有意に増加していた。B細胞の活性化を示唆するIL-6値、免疫グロブリン値もCD19ノックアウトマウスで有意に減少し、CD19トランスジェニックマウスで有意に上昇していた。すなわち投与7日後の気管支肺胞洗浄液中のB細胞とその産物が肺線維症の重症度と相関していたが、投与前には気管支肺胞洗浄液中にはB細胞はほとんど存在しないため、B細胞が局所に浸潤する事で病態に関与している可能性が考えられた。種々の炎症細胞浸潤を司る細胞接着分子欠損マウスやB細胞表面分子の解析の結果、CXCR3がB細胞の浸潤に関与している可能性が考えられた。以上、CD19がCXCR3などの分子の発現を調節する事で炎症局所へのB細胞浸潤を制御し、病態に関与している可能性が考えられた。
Bibliography:W3-5
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.36.0.42.0