中国における都市空間構造が労働者の賃金に及ぼす影響―ダイナミック・パネルデータに基づく実証分析

本稿の目的は,中国における都市空間構造が労働者の賃金に及ぼす影響を考察することである。本稿では,従来の都市規模と都市密度を定量化した研究以上に都市空間構造に焦点を当て,都市空間的な特徴を代表する都市システム指標と都市空間的密度を代表する都市スプロール指数を測定したうえで,操作変数法とシステムGMM推定法を用いて,パネルデータモデルとダイナミック・パネルモデルを構築し,都市システムと都市スプロールのそれぞれが賃金に及ぼす影響,および都市の不均一性と都市スプロールが賃金に及ぼす交互作用効果を実証的に分析した。分散した都市空間構造が労働者の賃金を低下させるという本稿での結論から,今後は,都市内部の集...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inアジア経済 Vol. 63; no. 3; pp. 34 - 64
Main Author 王, 娜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所 15.09.2022
Online AccessGet full text
ISSN0002-2942
2434-0537
DOI10.24765/ajiakeizai.63.3_34

Cover

More Information
Summary:本稿の目的は,中国における都市空間構造が労働者の賃金に及ぼす影響を考察することである。本稿では,従来の都市規模と都市密度を定量化した研究以上に都市空間構造に焦点を当て,都市空間的な特徴を代表する都市システム指標と都市空間的密度を代表する都市スプロール指数を測定したうえで,操作変数法とシステムGMM推定法を用いて,パネルデータモデルとダイナミック・パネルモデルを構築し,都市システムと都市スプロールのそれぞれが賃金に及ぼす影響,および都市の不均一性と都市スプロールが賃金に及ぼす交互作用効果を実証的に分析した。分散した都市空間構造が労働者の賃金を低下させるという本稿での結論から,今後は,都市内部の集積効果の強化によって,都市空間構造が賃金水準を引き上げることになると示唆される。
ISSN:0002-2942
2434-0537
DOI:10.24765/ajiakeizai.63.3_34