インターフェロンα投与後にバセドウ病を発症したC型慢性肝炎の1例

IFN-α治療終了後に眼球突出を伴うバセドウ病を発症したC型慢性肝炎の1例を報告する. 症例は36歳, 男性. 1999年3月, 献血時検査でHCV抗体陽性を指摘されて本院を受診した. ASTは45IU/l, ALTは63IU/lであり, HCVのジェノタイプはIb型, HCV-RNA量は190kIU/mlであった. 肝生検では門脈域の軽度の線維性拡大とリンパ球浸潤がみられ, 慢性肝炎 (F1, A1) と診断した. 同年5月から10月末 (24週間) まで, 天然型IFN-α(600万単位/2週連日以後週3回) 投与を行ったところ, 2000年8月, それまでみられなかった眼球突出・流涙・動...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 43; no. 4; pp. 199 - 202
Main Authors 加藤, 浩之, 森田, 茂樹, 古河, 隆二, 矢野, 公士, 中川, 祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2002
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.43.199

Cover

More Information
Summary:IFN-α治療終了後に眼球突出を伴うバセドウ病を発症したC型慢性肝炎の1例を報告する. 症例は36歳, 男性. 1999年3月, 献血時検査でHCV抗体陽性を指摘されて本院を受診した. ASTは45IU/l, ALTは63IU/lであり, HCVのジェノタイプはIb型, HCV-RNA量は190kIU/mlであった. 肝生検では門脈域の軽度の線維性拡大とリンパ球浸潤がみられ, 慢性肝炎 (F1, A1) と診断した. 同年5月から10月末 (24週間) まで, 天然型IFN-α(600万単位/2週連日以後週3回) 投与を行ったところ, 2000年8月, それまでみられなかった眼球突出・流涙・動悸が出現した. 甲状腺ホルモンが高値であり, 甲状腺シンチでの取り込みが亢進していたため, バセドウ病と診断した. IFN誘発性の甲状腺機能亢進症の内, バセドウ病の場合はIFN加療終了後にも発症しやすいため, 注意深い経過観察が必要と思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.43.199