くも膜下出血で発症したextrasinusal typeの後頭蓋窩硬膜動静脈瘻の1例

「はじめに」 頭蓋内硬膜動静脈瘻(dAVF)は多彩な病態を含む疾患で, その原因は不明であり, 臨床的には診断や治療に難渋する症例も少なくない. 特に, くも膜下腔の架橋静脈に直接流出する“extrasinusal type”のdAVFは出血や静脈うっ滞による症状出現の危険性が高く, 出血例では再出血の危険性も高い. 今回われわれは, くも膜下出血(SAH)で発症し, 再出血をきたした後頭蓋窩の“extrasinusal type”のdAVFの1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」 患者:80歳, 男性. 既往歴:高血圧症, 珪肺. 現病歴:突然の後頭部痛を自覚して近医を...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 40; no. 4; pp. 257 - 261
Main Authors 佐々木, 順孝, 柴田, 憲一, 溝井, 和夫, 柳澤, 俊晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2012
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.40.257

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Summary:「はじめに」 頭蓋内硬膜動静脈瘻(dAVF)は多彩な病態を含む疾患で, その原因は不明であり, 臨床的には診断や治療に難渋する症例も少なくない. 特に, くも膜下腔の架橋静脈に直接流出する“extrasinusal type”のdAVFは出血や静脈うっ滞による症状出現の危険性が高く, 出血例では再出血の危険性も高い. 今回われわれは, くも膜下出血(SAH)で発症し, 再出血をきたした後頭蓋窩の“extrasinusal type”のdAVFの1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」 患者:80歳, 男性. 既往歴:高血圧症, 珪肺. 現病歴:突然の後頭部痛を自覚して近医を受診し, CTで右小脳橋角槽に限局するSAHがみられ(Fig.1A, B, C), 同院脳神経外科に入院した. 入院後, ただちに脳血管撮影が行われたが両側内頚動脈撮影および椎骨動脈撮影で出血源の特定には至らず, unknown origin SAHとして保存的に加療された.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.40.257