介護保険施設等における口腔ケアの実態に関する研究 : 第1報 口腔ケアの現状と歯科医療職の関与について

本研究は,脳血管障害発生直後の急性期を脱した多くの要介護高齢者が生活を営む介護保険施設等を対象に,口腔ケアの現状や支援体制を検討することを目的として実施した.調査対象は,福祉情報ネットワーク「遊楽」の検索を利用して,「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「グループホーム」の4つのキーワードにて母集団15,722施設を選択した.次に各施設母集団から1,000施設(合計4,000施設)を無作為系統抽出し,質問紙による調査票を郵送した(回答施設総数1,713施設,回答率42.8%).その結果,「基本的介護計画に口腔ケアが含まれている」施設は91.4%に達し,介護保険施設等にお...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 56; no. 2; pp. 178 - 186
Main Authors 岡田, 眞人, 渡邊, 裕, 蔵本, 千夏, 大原, 里子, 宮武, 光吉, 新庄, 文明, 山根, 源之, 山田, 善裕, 石井, 拓男, 大川, 由一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2006
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.56.2_178

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Summary:本研究は,脳血管障害発生直後の急性期を脱した多くの要介護高齢者が生活を営む介護保険施設等を対象に,口腔ケアの現状や支援体制を検討することを目的として実施した.調査対象は,福祉情報ネットワーク「遊楽」の検索を利用して,「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「グループホーム」の4つのキーワードにて母集団15,722施設を選択した.次に各施設母集団から1,000施設(合計4,000施設)を無作為系統抽出し,質問紙による調査票を郵送した(回答施設総数1,713施設,回答率42.8%).その結果,「基本的介護計画に口腔ケアが含まれている」施設は91.4%に達し,介護保険施設等において口腔ケアが普及している実態が把握された.しかし,「目視による口腔ケア実施の確認」は,過半数の施設が月1回程度であり,「口腔ケアの確認担当者」は,介護職員が多数を占めていた.「職員に対する歯科保健教育の実施状況」は十分とはいえず,口腔ケアの質の確保が課題である. 「入所者の歯科治療について」は,「通院歯科治療」とならんで「訪問歯科診療」が普及していた.こうしたことから,介護老人福祉施設における要介護高齢者の口腔ケアは,介護職員との連携に基づき歯科医療職によって定期的に提供される必要があると考えられた.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.56.2_178