Pryce I型肺分画症の1治験例

症例は反復する血痰を主訴とした19歳, 男性. 胸部X線写真で左下肺野に異常影を認め, 同部位に血管駆出性の雑音を聴取した. 胸部CTにおいて肺血管奇形が疑われたため血管造影を行ったところ, 左肺底区動脈が下行大動脈より起始しており, 同部では肺動脈が欠損していた. 胸部3D-CTと気管支鏡検査では気管支の分岐異常は認められなかった. Pryce I型の肺葉内肺分画症と診断し手術を施行した. 手術では直径13mmの異常動脈が第8胸椎レベルの胸部下行大動脈より下肺静脈近傍へ流入しており, この異常動脈を切離するとともに左肺下葉切除を行った. 術後経過は良好であった. Pryce I型の肺葉内肺分...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 19; no. 7; pp. 881 - 884
Main Authors 佐野, 功, 原, 信介, 南, 寛行, 近藤, 正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2005
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.19.881

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Summary:症例は反復する血痰を主訴とした19歳, 男性. 胸部X線写真で左下肺野に異常影を認め, 同部位に血管駆出性の雑音を聴取した. 胸部CTにおいて肺血管奇形が疑われたため血管造影を行ったところ, 左肺底区動脈が下行大動脈より起始しており, 同部では肺動脈が欠損していた. 胸部3D-CTと気管支鏡検査では気管支の分岐異常は認められなかった. Pryce I型の肺葉内肺分画症と診断し手術を施行した. 手術では直径13mmの異常動脈が第8胸椎レベルの胸部下行大動脈より下肺静脈近傍へ流入しており, この異常動脈を切離するとともに左肺下葉切除を行った. 術後経過は良好であった. Pryce I型の肺葉内肺分画症は喀血や感染の原因となるため手術適応と考える.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.19.881