十二指腸温存膵頭切除術後2年目に総胆管結石形成をみた1例

症例は74歳,女性.2006年1月成人孤立性膵真性嚢胞にて十二指腸温存膵頭切除術(以下DPPHR)を当科にて施行.近医にて経過観察中,2008年春頃より腹部不快感あり.腹部USにて総胆管内に17mm大の結石陰影あり.当科へ再紹介となった.MRCPにて総胆管内に欠損陰影と肝内胆管の軽度拡張あり.ERCPは十二指腸第2部の変形・蛇行があり乳頭を正面視できず不成功.同年9月再手術を施行した.総胆管は蛇行し,十二指腸・後腹膜にがっちりと癒着していた.肝門部で総胆管を剥離し切離.鋳型状の結石を数個取り出した後,総胆管を十二指腸壁から剥離して切離縫合した.再建は空腸脚を挙上してRoux-Y再建した.術後経...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 10; pp. 2596 - 2599
Main Authors 田中, 千弘, 河合, 雅彦, 西科, 琢雄, 國枝, 克行, 松橋, 延壽, 長尾, 成敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2596

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Summary:症例は74歳,女性.2006年1月成人孤立性膵真性嚢胞にて十二指腸温存膵頭切除術(以下DPPHR)を当科にて施行.近医にて経過観察中,2008年春頃より腹部不快感あり.腹部USにて総胆管内に17mm大の結石陰影あり.当科へ再紹介となった.MRCPにて総胆管内に欠損陰影と肝内胆管の軽度拡張あり.ERCPは十二指腸第2部の変形・蛇行があり乳頭を正面視できず不成功.同年9月再手術を施行した.総胆管は蛇行し,十二指腸・後腹膜にがっちりと癒着していた.肝門部で総胆管を剥離し切離.鋳型状の結石を数個取り出した後,総胆管を十二指腸壁から剥離して切離縫合した.再建は空腸脚を挙上してRoux-Y再建した.術後経過は良好で第13病日退院した.DPPHR後合併症として温存胆管の血流不全による狭窄は報告されているが,総胆管結石の形成についての報告例はみられない.本例では胆管狭窄所見は見られず,血流は維持されていたと思われるが,引き伸ばされた総胆管に屈曲蛇行が生じたことが胆汁うっ滞の原因となり,結石形成の原因となったと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2596