血友病A患者に発症した膵内血腫の1例
症例は62歳,男性.併存疾患に血友病Aがあるが,第VIII因子製剤の投与が不定期であった.上行結腸癌術後2カ月目の腹部造影CTで膵頭部に20mm大の周囲がlow densityで内部に造影効果を有する腫瘤を認めた.腫瘤は徐々に増大傾向であり,非機能性膵内分泌腫瘍を疑い,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術前および術後は日本血栓止血ガイドラインに沿って第VIII因子製剤を使用した.切除標本では膵頭部に28×20×20mm大の血腫様結節を認めた.組織学的には悪性所見は認められず,赤血球主体の新鮮血液成分からなる血腫を内容とする嚢胞様拡張領域がみられ,膵内血腫と診断した.血友病の患者で造影効果...
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| Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 10; pp. 2627 - 2631 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本臨床外科学会
2011
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
| DOI | 10.3919/jjsa.72.2627 |
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| Summary: | 症例は62歳,男性.併存疾患に血友病Aがあるが,第VIII因子製剤の投与が不定期であった.上行結腸癌術後2カ月目の腹部造影CTで膵頭部に20mm大の周囲がlow densityで内部に造影効果を有する腫瘤を認めた.腫瘤は徐々に増大傾向であり,非機能性膵内分泌腫瘍を疑い,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術前および術後は日本血栓止血ガイドラインに沿って第VIII因子製剤を使用した.切除標本では膵頭部に28×20×20mm大の血腫様結節を認めた.組織学的には悪性所見は認められず,赤血球主体の新鮮血液成分からなる血腫を内容とする嚢胞様拡張領域がみられ,膵内血腫と診断した.血友病の患者で造影効果を有する腫瘤の出現を認めた際には,血腫も鑑別疾患の一つと考える必要がある. |
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| ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
| DOI: | 10.3919/jjsa.72.2627 |