十二指腸原発巨大GISTの1例

症例は48歳の女性で右上腹部痛を主訴に受診した. 貧血著明で右上腹部に小児頭大で弾性軟の腫瘤を触知した. CTにて肝下面から骨盤腔に至り右腎腹側を占拠し, その内部には壊死部と考えられる低吸収域を伴った径約20cm, 厚さ7cmの巨大腫瘍を認めた. 血管造影では頭側3分の1が右肝動脈より, 尾側3分の2が前および後上膵十二指腸動脈より栄養されるhypervascularな腫瘍を認めた. 画像所見より後腹膜腫瘍の診断にて開腹したところ, 腫瘍は十二指腸下行部乳頭対側壁の1cm径の小結節を基部にして管外性発生していた. 後腹膜との癒着はなく, 十二指腸楔状部分切除にて腫瘍は摘出された. 病理検査の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 11; pp. 2758 - 2763
Main Authors 名和, 正人, 伊藤, 元博, 川越, 肇, 立花, 進, 土屋, 十次, 熊澤, 伊和生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.2758

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Summary:症例は48歳の女性で右上腹部痛を主訴に受診した. 貧血著明で右上腹部に小児頭大で弾性軟の腫瘤を触知した. CTにて肝下面から骨盤腔に至り右腎腹側を占拠し, その内部には壊死部と考えられる低吸収域を伴った径約20cm, 厚さ7cmの巨大腫瘍を認めた. 血管造影では頭側3分の1が右肝動脈より, 尾側3分の2が前および後上膵十二指腸動脈より栄養されるhypervascularな腫瘍を認めた. 画像所見より後腹膜腫瘍の診断にて開腹したところ, 腫瘍は十二指腸下行部乳頭対側壁の1cm径の小結節を基部にして管外性発生していた. 後腹膜との癒着はなく, 十二指腸楔状部分切除にて腫瘍は摘出された. 病理検査の結果, 十二指腸GISTと診断され, 免疫染色ではc-kitとCD34が陽性, s-100とα-SMAが陰性であった. 十二指腸GISTは稀な疾患で, さらには本症例の様に腫瘍径20cmを超え後腹膜腫瘍様に進展する症例は非常に稀と考えられたため若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2758