肺癌膵転移の1例
症例は64歳,女性.2009年6月左肺癌にて肺下葉切除術を施行.2010年4月腹部超音波検査にて膵体部に腫瘍を認められた.腹部造影CTでは腫瘍は軽度造影され,内視鏡的膵管造影では膵管の杯状の途絶を認めた.Fluorodeoxy glucose-positron emission tomography(FDG-PET)では膵体部と右縦隔リンパ節にFDGの集積を認めた.右縦隔リンパ節は肺癌の転移再発の可能性が高いと考えたが,診断的意義も含め2010年6月膵体尾部切除術を施行した.病理検査では腫瘍組織は肺の腫瘍組織と類似しており,肺癌膵転移と診断された.術後10カ月現在,肺癌に対する化学療法を施行し...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 10; pp. 2639 - 2643 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2011
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.72.2639 |
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Summary: | 症例は64歳,女性.2009年6月左肺癌にて肺下葉切除術を施行.2010年4月腹部超音波検査にて膵体部に腫瘍を認められた.腹部造影CTでは腫瘍は軽度造影され,内視鏡的膵管造影では膵管の杯状の途絶を認めた.Fluorodeoxy glucose-positron emission tomography(FDG-PET)では膵体部と右縦隔リンパ節にFDGの集積を認めた.右縦隔リンパ節は肺癌の転移再発の可能性が高いと考えたが,診断的意義も含め2010年6月膵体尾部切除術を施行した.病理検査では腫瘍組織は肺の腫瘍組織と類似しており,肺癌膵転移と診断された.術後10カ月現在,肺癌に対する化学療法を施行している.肺癌膵転移は全身転移の一部として見つかることが多く,手術適応となることが少ない.一方他部位の転移が小範囲で化学療法などが可能である場合,原発性膵癌との鑑別診断としての意味も含めて手術適応がある場合もあると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.72.2639 |