縫合結紮糸変更を軸としたベストプラクティス導入による手術部位感染対策の効果
目的:縫合結紮糸変更を軸としたSSI対策の変遷とその総合的な効果を検討した.方法:2004年10月-2008年9月までの4年間に当院で施行した開腹消化器外科手術例957例を対象とし,主に絹糸使用の2005年9月までの前期群:227例,皮膚縫合を除き合成吸収糸使用の2005年10月-2007年9月までの中期群:485例,2007年10月以降の全面的に絹糸非使用の後期群:245例の3群に分類した.後期群では縫合糸以外のベストプラクティスの導入を併せて行った.結果:SSI発生部位の比較(前期群:中期群:後期群)では深部感染率(%)が(6.6:1.4:2.5)と中期以降有意に減じ,体腔感染率は(11....
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 11; pp. 2773 - 2780 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2010
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.71.2773 |
Cover
Summary: | 目的:縫合結紮糸変更を軸としたSSI対策の変遷とその総合的な効果を検討した.方法:2004年10月-2008年9月までの4年間に当院で施行した開腹消化器外科手術例957例を対象とし,主に絹糸使用の2005年9月までの前期群:227例,皮膚縫合を除き合成吸収糸使用の2005年10月-2007年9月までの中期群:485例,2007年10月以降の全面的に絹糸非使用の後期群:245例の3群に分類した.後期群では縫合糸以外のベストプラクティスの導入を併せて行った.結果:SSI発生部位の比較(前期群:中期群:後期群)では深部感染率(%)が(6.6:1.4:2.5)と中期以降有意に減じ,体腔感染率は(11.9:6.4:3.3)と皮膚縫合方法のみを変更した後期群においても低下傾向がみられた.全体のSSI発生率(%)は(27.8:17.9:12.2)と段階的低下し,術後平均在院日数は(30.2:24.0:20.0)と短縮した.考察:合成吸収糸の段階的導入を軸としたSSI対策により,周術期にかかわるスタッフへの意識付けが明確になり,後期群でスムーズにベストプラクティスの導入が可能となり,縫合結紮糸変更による直接的な効果だけでない総合的な効果が発揮されたものと考えられた. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.71.2773 |