急速に増殖した男性乳癌の1例
症例は78歳,男性.約1年6カ月前から左乳房の腫瘤を自覚したが,放置し,初診3カ月前から増大し,約6cm大の大きさで,受診した.当初,葉状腫瘍が疑われ,胸筋温存乳房切除術が行われた.病理組織学的検査により粘液癌と診断され,1週後に,右鼠径ヘルニア根治術と共に,左腋窩郭清が行われた.病理組織学的検索でリンパ節に転移を認めなかった.男性乳癌は稀であるが,中でも粘液癌は報告が少なく,急に増殖する病態は主に粘液成分の増加に関係していると思われた.自覚から初診まで約1年6カ月経過していたが,粘液癌は限局性病変であることが多く,周囲組織浸潤や脈管浸潤の頻度が低く,予後は比較的良好と考えられるが,術後の注意...
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          | Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 10; pp. 2960 - 2964 | 
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| Main Authors | , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本臨床外科学会
    
        2009
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 1345-2843 1882-5133  | 
| DOI | 10.3919/jjsa.70.2960 | 
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| Summary: | 症例は78歳,男性.約1年6カ月前から左乳房の腫瘤を自覚したが,放置し,初診3カ月前から増大し,約6cm大の大きさで,受診した.当初,葉状腫瘍が疑われ,胸筋温存乳房切除術が行われた.病理組織学的検査により粘液癌と診断され,1週後に,右鼠径ヘルニア根治術と共に,左腋窩郭清が行われた.病理組織学的検索でリンパ節に転移を認めなかった.男性乳癌は稀であるが,中でも粘液癌は報告が少なく,急に増殖する病態は主に粘液成分の増加に関係していると思われた.自覚から初診まで約1年6カ月経過していたが,粘液癌は限局性病変であることが多く,周囲組織浸潤や脈管浸潤の頻度が低く,予後は比較的良好と考えられるが,術後の注意深い治療観察と適切な補助療法が必要である. | 
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| ISSN: | 1345-2843 1882-5133  | 
| DOI: | 10.3919/jjsa.70.2960 |