14 フィリピン・東ミンドロ州における日本住血吸虫症の現状 : 中間宿主,保虫宿主を中心に(第60回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)

日本住血吸虫症は未だフィリピンや中国などに広く分布し, 重篤な健康問題を引き起こしている. 共同演者の松田らは1981年以来, フィリピンにおける日本住血吸虫症対策のために集団検診や衛生教育, 疫学的調査, 中間宿主貝の駆除等, 現地の住血吸虫症対策チームとともに行っている. 今回, 我々はフィリピン東ミンドロ州における本症の現伏を把握することを目的に, 中間宿主貝Oncomelania quadrasiを採取し, セルカリア感染の有無を検査した. 同時に保虫宿主である野鼠を捕獲し, 本虫感染の有無を調査した. 更に現地の小学生の血清抗体価検査(ELISA法)を実施した. 過去において多くの感...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 60; no. 2; p. 148
Main Authors 河原, 真木子, 高橋, 充, 大平, 修二, 石井, 寛人, 鎌田, 祐子, 篠崎, 浩之, 松田, 肇, 宮島, 大河, 千種, 雄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2009
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.60.148_4

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Summary:日本住血吸虫症は未だフィリピンや中国などに広く分布し, 重篤な健康問題を引き起こしている. 共同演者の松田らは1981年以来, フィリピンにおける日本住血吸虫症対策のために集団検診や衛生教育, 疫学的調査, 中間宿主貝の駆除等, 現地の住血吸虫症対策チームとともに行っている. 今回, 我々はフィリピン東ミンドロ州における本症の現伏を把握することを目的に, 中間宿主貝Oncomelania quadrasiを採取し, セルカリア感染の有無を検査した. 同時に保虫宿主である野鼠を捕獲し, 本虫感染の有無を調査した. 更に現地の小学生の血清抗体価検査(ELISA法)を実施した. 過去において多くの感染者が認められた4ヶ所でO.quadrasiを採取したところ, そのうち2ヶ所の貝からセルカリアが検出された. それらはともにビクトリアの市街地にあり, 感染率はそれぞれ, Aling Nene Creek(0.2%), Aling Nene Swamp(0.4%)であった. このことは, 現在でも感染者が出現していることを示唆している. 一方, 野鼠の剖検では68頭中8頭(感染率:12%)が感染しており, 体長と本虫との感染は相関し, 年齢を経た野鼠程高い感染を認める傾向を示した. なお, 小学生の血清抗体価は現在解析中である. 以上, フィリピンの東ミンドロ州においては未だ本症の生活環が現存し, 今後とも更なる対策が必要と考えられる.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.60.148_4