尿酸排泄の男女差を生じる背景の検討

我々は,血清尿酸値において閉経後女性と男性との有意差は消失するが,尿酸排泄は女性で有意に多いことを報告した.この男女差が生じる背景を明らかにするために,その際に収集したデータにさらに解析を追加し検討した.今回は50歳以上男性23例(以下男性群,平均年齢67±10歳)閉経後女性26例(以下女性群,平均年齢73±9歳)が解析対象となった.結果,血清尿酸値は男性群5.2±1.0mg/dl,女性群4.9±1.2mg/dl(p = 0.361),尿UA/Cr比は男性群0.48±0.12,女性群0.67±0.20(p<0.001),尿pHは男性群5.7±0.7,女性群6.0±1.1(p = 0.252)で...

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Published in痛風と尿酸・核酸 Vol. 46; no. 2; pp. 115 - 124
Main Authors 向井, 正法, 佐藤, 直子, 春原, 伸行, 西, 亨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会 20.12.2022
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ISSN2435-0095
DOI10.14867/gnamtsunyo.46.2_115

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Summary:我々は,血清尿酸値において閉経後女性と男性との有意差は消失するが,尿酸排泄は女性で有意に多いことを報告した.この男女差が生じる背景を明らかにするために,その際に収集したデータにさらに解析を追加し検討した.今回は50歳以上男性23例(以下男性群,平均年齢67±10歳)閉経後女性26例(以下女性群,平均年齢73±9歳)が解析対象となった.結果,血清尿酸値は男性群5.2±1.0mg/dl,女性群4.9±1.2mg/dl(p = 0.361),尿UA/Cr比は男性群0.48±0.12,女性群0.67±0.20(p<0.001),尿pHは男性群5.7±0.7,女性群6.0±1.1(p = 0.252)であった.尿UA/Cr比と一日塩分摂取量,一日カリウム排泄量,尿pHの3因子間においては,男性群では尿UA/Cr比と塩分摂取量(r = 0.641,p<0.001)に相関が見られたのみであったが,女性群では尿UA/Cr比は塩分摂取量(r = 0.673,p<0.001)カリウム排泄量(r = 0.580,p<0.003)尿pH(r = 0.552,p<0.003)の3因子ともに強い相関を認めた.以上から尿中尿酸排泄には,閉経後もカリウム排泄,尿pHに関連する男女差が残存していることを推測した.
ISSN:2435-0095
DOI:10.14867/gnamtsunyo.46.2_115