1 フィリピン国サマール島で採集されたブユ属の新種および新記録種について(第58日本衛生動物学会南日本支部大会講演要旨)

2008年の2月に, フィリピン国サマール島西部および北部の13の水系においてブユ幼虫および蛹の採集を行い, 従来本島から記録されていた1種Simulium(Simulium) baltazarae Delfinadoを含め, 7種を得た. 新たに採集された6種のうち, S.(Gomphostilbia) bicolense Takaoka, S(G.)sabzarae Takaoka, S.(Wallacellum) tuyense Takaokaの3既知種は本島からの新記録種であった. 他の3種は新種で, このうち2種はGomphostilbia亜属に属し, 各々, ミンダナオ島産のS.(...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 60; no. 2; p. 163
Main Authors 高岡, 宏行, 大塚, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2009
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.60.163_2

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Summary:2008年の2月に, フィリピン国サマール島西部および北部の13の水系においてブユ幼虫および蛹の採集を行い, 従来本島から記録されていた1種Simulium(Simulium) baltazarae Delfinadoを含め, 7種を得た. 新たに採集された6種のうち, S.(Gomphostilbia) bicolense Takaoka, S(G.)sabzarae Takaoka, S.(Wallacellum) tuyense Takaokaの3既知種は本島からの新記録種であった. 他の3種は新種で, このうち2種はGomphostilbia亜属に属し, 各々, ミンダナオ島産のS.(G.)davaoensr Takaoka, スラウェシ島辺のS.(G.)serratum Takaokaに酷似していたが, 蛹の呼吸管の特徴などで区別される. 1種はWallacellum亜属に属し, ルソン島産のS.(W.)claveriaense Takaokaに似ていたが, 繭が靴型であることなどで区別される. Wallacellum亜属の1新種については, ミトコンドリア16SリボソームRNA遺伝子の配列を決定し, 既知12種との系統関係を調べた. その結果, この新種は, 2つに大別されたクラスターのうち, 雌雄外部生殖器および蛹の呼吸管などの形質において祖先形質を共通にもつクラスターに含まれた.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.60.163_2